2007-01-01から1年間の記事一覧

「モーターサイクル・ダイアリーズ 通常版 [DVD]」

革命家、チェ・ゲバラの若き日の旅の記録。これもいまさら、といった感じだが。 南米大陸を巡る旅に出る二人。そこで出会うさまざまな南米の生活者たち。貧しい人、病んで隔離された人…彼らに出会い、それを見る、少し恵まれた境遇にいる主人公のまなざしが…

「ミリオンダラー・ベイビー [DVD]」

いまさら見てみる。単なる成功物語ではなかったのだと見てはじめて知った。映画をやっていたときの売り文句からしても、そりゃそうだ、なのかもしれないがちょっとびっくり。 貧乏でもなく傷ついてもいない、不自由なく育ちストイックでもない人間なんてつま…

ドストエフスキー「罪と罰〈中〉 (岩波文庫)」

中巻に至って、事件を起こすに至った主人公の思想がほぼ明らかになる。家族との再会もつかの間、離れてしまう心。 と同時に、次々と主人公の周囲にあらわれる怪しい人間の数々…。実のところは彼らのほうが、社会的にまっとうな、いわゆる普通の人間なのかも…

山田史生「日曜日に読む『荘子』 (ちくま新書)」

孔子や老子に比べるとその知名度は低そうな荘子は、中国の思想家である。こう書いていながら、自分でも彼がどのようなことを言った人なのかほとんどわからない。 ただ、ヘンな人だということはわかる。この本も、荘子の思想を紹介しながらも、例え話は縦横に…

絲山秋子「逃亡くそたわけ (講談社文庫)」

福岡の精神病院を抜け出した、恋人でも家族でもない男女が車でひたすら南へ向かうロードムービー的小説。旅の途中で精神的に不安定になったりハイになったりしつつ、主人公の相方への気持ちや、自分との向き合い方は微妙に変わっていく。とどまりたくない気…

ドストエフスキー「罪と罰〈上〉 (岩波文庫)」

「いまさら名作を読む」第三弾はこれにした。これを何の理由もなく、特にひまでもないのに、よし読もうと決心してしまう今年の自分はいったいなんなんだ。 酔っ払いが狂ったように大演説をぶつ迫力に圧倒される描写からはじまる上巻。じっくり展開していくの…

「サイドウェイ〈特別編〉 [DVD]」

モテモテでとってもスケベな半端な俳優と、バツイチのいじけた売れない作家(と名乗る英語教師)。実に分かりやすいデコボココンビのロードムービー。 どこか人間性に問題を抱えていたり、精神的に病んでいたりする人が旅をする中で変わっていくのはよくある…

パオロ・マッツァリーノ「反社会学講座 (ちくま文庫)」

文庫化されたので購入。さすがに評判になった本だけはあって、おもしろい。 社会学というのが、いかにどんなことでも主張できてしまうのかということを、真面目な話題も不真面目な話題もともに入れ込みながら面白く述べていく。とはいえ、どんなに物事を資料…

日本吟醸酒協会 お探しのページは見つかりませんでした

友人と、東京駅の吟醸バーに行ってきた。これはすごい。きらめくような吟醸酒が66種類+α。きれいなグラスに注いでくれて、色と香りをワインのように吟味しながら味わう。あまりに種類が多すぎて、どれを選んだらいいかわからない。どれでも美味しいだろう…

「太陽 [DVD]」

ロシアのソクーロフ監督が撮った、イッセー尾形が演じる「エンペラー」。 日本だとどうしてもデリケートな扱いになってしまいそうなこの映画。不謹慎かもしれないが、イッセー尾形さんの演技がとてもユーモラスで、その手や口元、歩き方から話し方まで、全て…

おめでとうが言いたい

本をじっくり読む暇がなくて書くことがない。いつもは、あまり書かないことにしているのだけれど、記録がてら自分周りの話をすこし。 今日は友人のとてもいい知らせがあった。というか、ブログに書いてあるのを見た。 修業期間でも、試験勉強でも、そういう…

中島義道「「人間嫌い」のルール (PHP新書)」

中島義道さんは、好きでずっと読んでいる一人だ。2、3年前に出た「悪について (岩波新書)」も面白かったが、この本も相変わらずの人生哲学が堪能できる。 そもそも著者の本を初めて読んだのは、高校生くらい、「対話のない社会」や「うるさい日本の私」だ…

正岡容「小説 圓朝 (河出文庫)」

著者は、「まさおかいるる」さんと読むらしい。落語の本などによく名前が出てくる、芸能研究家・作家。この小説は1943年に刊行されたものを底本としているとのこと。いやはやなんとじっくりと文庫本になったことか。こういう本を広く読めるようにしてく…

ヘッセ「クヌルプ (新潮文庫)」

ヘッセを読むキャンペーン、二冊目。一冊目は、こちら。→http://d.hatena.ne.jp/PineTree/20070812/p1 つくづくこの人は詩人なのだ。放浪の芸術家の人生と哲学が淡々と綴られる。解説に『「デミアン」とまったく異なっているようで、テーマは相通ずるもので…

「ジョゼと虎と魚たち [DVD]」

べたなセレクトですが、見たことがなかったもので。10本近く置いてあったのに、びっしり借りられていて残り一本だった。これはもう池脇千鶴さんに尽きる。ジョゼにとっての、恋愛の、「これ一回きり」という切迫した感じが、見ていて辛いほど伝わってくる…

「リンダリンダリンダ [DVD]」

「天然コケッコー」を見たつながり(同じ監督)でDVDを借りてくる。いまさら、だけども。 バンドが空中分解してしまった女子高生3人。韓国からの留学生のソンちゃんをボーカルに誘い、学園祭でどうにか演奏しようとする。 こういうのはちょっとずつけん…

佐藤克文「ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ―ハイテク海洋動物学への招待 (光文社新書)」

また一冊、全ての人にお勧めしたいサイエンスの本が誕生した。 陸上や空で生活する動物の生態は比較的観察しやすい。どのように暮らしているか、どう動いているかは映像でも、眼でも観察できる。では、海の中で生活する動物はどうやって観察すればいいのか?…

山折哲雄「早朝坐禅―凛とした生活のすすめ (祥伝社新書)」

「教えること、裏切られること―師弟関係の本質 (講談社現代新書)」がとてもおもしろかった、宗教学者の著者による勝手禅のすすめ。 朝起きて一人で座ってみる。一人で散歩してみる。禅のように清い気持ちになどならなくても、妄想を抱きながらでも良いから、…

スタンダール「赤と黒〈下〉 (岩波文庫 赤 526-4 9」

上巻の感想はこちら→http://d.hatena.ne.jp/PineTree/20070803/p1 下巻は主人公が田舎町から出てきたところからはじまる。上巻と下巻で描かれる恋愛のコントラストの強さがすごい。田舎町の主人公と貴婦人の間の純粋な気持ちにキュンとなる上巻とはうってか…

岩城宏之「音の影 (文春文庫)」

惜しくも亡くなられた名指揮者であり名エッセイストである著者の本はいつもおもしろい。これも文庫で見かけて即ご購入。AからZまで、順番にそれらの文字から始まる作曲家についてのエピソードを明かしていく。ただし、ためになるかどうかはわかりません。…

池澤夏樹「静かな大地 (朝日文庫 い 38-5)」

これはおもしろい。 同じ北海道出身の道産子として、池澤夏樹さんは読みつづけたい、好きな作家の一人だ。そんな彼が、北海道開拓とアイヌというテーマに真正面から取り組んで書いた600ページ超の大河小説。 淡路島から入植した宗形一族。主人公である三…

ちょっとうれしいこと

春先に書いた申請書が通った。2年前からあたためていたものを、今年の春先にかなり気合を入れて書き直したもの。申請区分の問題で通るのはほとんど諦めていただけに嬉しい。ボスがとても喜んでくれた。 まだまだ金額的にもチャチなものだし、これが通ったと…

斎藤兆史「努力論 (ちくま新書)」

タイトルが幸田露伴そのままである潔さ。 著者は「英語達人塾 極めるための独習法指南 (中公新書)」などで有名な英語学者。この人の、受験英語をしっかりと身に付けることが、使える英語力を高めるのだ、とのスタンスには共感している。会話を極度に重視して…

話したくはない

最近所帯を持った友達と夕ご飯を食べに。 サークルの、仲のいい同期だ。彼の仕事の話とか、引っ越した話とかを聞く。 こないだ、失礼なことをしてしまったにも関わらず、すごく親しげに話してくれる。 落ち着いて仕事をしているようすがよくわかって、うれし…

奈良ひとり歩き(2日目)

1日目でかなりくたびれてしまったものの、今日はだめだめではもったいないぞ、ということでまたも動いた2日目。 もう少しいけたかもと思うけれど、普段見られないものをみながら考え事をしつつ散歩して、本もたくさん読めたし、言うことなし。

奈良ひとり歩き(1日目)

行き帰り高速バス、ユースホステル宿泊で奈良に行ってまいりました。 修学旅行でも行ったことがないとはどういうこっちゃ、ということで、せっかくなので、日の出ている間はひたすら歩き倒してきました。 夜は喫茶店でひたすら読書。なんてぜいたくな。以下…

奈良文化財研究所編「奈良の寺 ― 世界遺産を歩く (岩波新書)」

突然だが、奈良に一人歩きに行くことにした。 実は、修学旅行でも家族で旅行でも訪れたことがなかったのだ。京都のお寺はけっこう回ったのに、奈良は足を踏み入れたこともない。夜行バスと、ユースホステル。大学生になったばっかりじゃないんだから、という…

佐藤卓巳・孫安石編「東アジアの終戦記念日―敗北と勝利のあいだ (ちくま新書)」

「言論統制―情報官・鈴木庫三と教育の国防国家 (中公新書)」の面白さが未だに記憶に残る著者の、終戦記念日に関するメディア論。 この本を読むきっかけは著者の名前を見て,というのが大きい。しかし、個人的に、同じ国内でも樺太や千島列島では8月15日を…

ヘッセ「デミアン (新潮文庫)」

「車輪の下 (新潮文庫)」しかしらないヘッセを、さる友人に影響を受けて読み始めることに。その人の、仕事をやめてまで読みたくなる、読む時間を欲するとは尋常ではない言いようである。 ヘッセさんは、車輪の下に代表される初期の作品が有名だが、実はその…

原田郁子「ピアノ」

ひさしぶりに、某大型レンタルCDショップのカードを作って、まとめ借り。 知人が良く聴いていたCDを自分でも借りて聴いてみたくなったのだ。 今年はそういえば、原田郁子さんをすごく近くで、生で聴いたのでした。このCDを聴いていると、そのときのこ…