2010-12-01から1ヶ月間の記事一覧

内田樹「街場の大学論 ウチダ式教育再生 (角川文庫)」

説明不要のウチダ先生による、大学論である。大学「論」とあるとおり、大学の現状について論じ、将来像について語り、学生数を減らして教育の室を高めるべき、といったことをいろいろと提案なさっている。のみならず、他の(著者が勤めている大学以外の)大…

三中信宏「進化思考の世界 ヒトは森羅万象をどう体系化するか (NHKブックス)」

「系統樹思考の世界」「分類思考の世界」に続く第三弾。 前2冊とも、じつに中身が濃くて、自分なりに感想をまとめることがとても難しかった。今回もその思いは変わらない。一方で、3冊目ということもあって、前2冊に貫かれている著者のスタイルや考え方に…

野内良三「日本語作文術 (中公新書)」

とにかく、「はじめに」だけでも読んでみてほしい。 シンプルな短文で、本書のポイントをテンポよくたたみかけるようにまとめてある。ここだけで、「おっ、普通でないぞ」と感じる。著者が自分の主張を徹底的に実践していることを見せることほど、本のよい宣…

小島荘明「寄生虫病の話―身近な虫たちの脅威 (中公新書)」

近年、インフルエンザなど、ウイルスによる感染症の話題が世間をにぎわせることが多い。実際、最近出る本も、自分で関心をもって読む本も、そういうものが多い。 では、なぜ寄生虫?なにやら、古めかしい話題のようにも思われるが、そうではないと著者は書く…

毛利衛「日本人のための科学論 (PHPサイエンス・ワールド新書)」

事業仕分けで、孤軍奮闘の大活躍をなさっていた、日本初の宇宙飛行士である毛利衛さん。日本科学未来館の館長という立場から、日本の科学の現状と未来を語る。この方の主張することはシャープだ。わかりやすければいいとは思わないが、少なくとも、海外の事…

立川談志「人生、成り行き―談志一代記 (新潮文庫)」

立川流家元、立川談志が、自分の人生を、聞き手の吉川潮さんに語った一冊。読んでいて一貫して感じるのは、ほんとうにこの人は、タイトルにあるように人生を計算してやってはいないな、ということだ。だから、単なる偉い人の成功譚みたいに教訓くさくならな…