2007-06-01から1ヶ月間の記事一覧

猪瀬直樹「ピカレスク 太宰治伝 (文春文庫)」

『こころの王国』『マガジン青春譜』と読んできて、文庫になったこの作品に手を伸ばす。 『死のうとした』太宰治という一般に考えられている像を180度ひっくり返し、『生きようとした』太宰治を描いた評伝。 まだ何者にもなっていない若者にとって、この…

福岡伸一「生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)」

「もう牛を食べても安心か (文春新書)」など、狂牛病関係で本を多く出していた著者が真正面から生命の謎に迫る一冊を世に問うた。「プリオン説はほんとうか?―タンパク質病原体説をめぐるミステリー (ブルーバックス)」では、プリオン説を唱えてプルシナーが…

柳谷晃「時そばの客は理系だった―落語で学ぶ数学 (幻冬舎新書)」

タイトルに「落語」と入っているだけで、何か面白いことを言っているに違いないと思ってしまうのは病気のようなものだろうか。 で実際、中身がそれほど濃いわけではないがやはり面白い。活字でそれぞれのネタを読むだけでも笑えるが、それぞれのネタについて…

長嶋有「パラレル (文春文庫)」

新人賞を受賞した『サイドカーに犬』が竹内裕子主演で公開間近、芥川賞作家の著者による長編。 登場人物の話し方などに、真似したくなるような癖があるわけではない。しかし、読んでいただかないと伝えずらいのだが、全体として、言葉遣いがたいへん洒落てい…

湯浅浩史「花の履歴書 (講談社学術文庫)」

草花は人々の心に潤いを与えてくれる。季節によっても違うが、少し道を歩いているだけでも、一般家庭では実に多くの種類の草花が育てられていることがわかる。 よほど自分で調べようと思わない限り、それらの花の名前がほとんど分かるという人はそういないだ…

谷川俊太郎・長谷川宏「魂のみなもとへ―詩と哲学のデュオ (朝日文庫 た 46-1)」

谷川俊太郎さんの詩に、長谷川宏さんが短い文章をつけている。詩と文章が順番に読める。詩ばかり並んでいると飽きてしまう自分には、詩を楽しむにはこのくらいがちょうどいい。 同じ詩を読んでも、同じようなことを感じることもあれば全く違うことを感じるこ…

鴻上尚史「俳優になりたいあなたへ (ちくまプリマー新書)」

執筆活動も活発に行っている劇作家の著者が書く、俳優になるための入門書。 中学生高校生といった若い人を読者に想定している「ちくまプリマー新書」の一冊だけあって、俳優を志す高校生に向けて著者が対話調で語りかけるという構成になっている。 テレビに…