2011-02-01から1ヶ月間の記事一覧

ヴィクトルユーゴー「レ・ミゼラブル〈1〉 (岩波文庫)」

…地上に無知と悲惨とがある間は、本書のごとき性質の書物も、おそらく無益ではないだろう。(p21:「序」より) このユーゴーの序文の意味が、読みすすむにつれてだんだんと沁みてくる。この本に出てくる貧しき人々は、男も女も、自らの窮状を切々と語る。犯…

大前研一「そうだ! 僕はユニークな生き方をしよう!! 新版「知の衰退」からいかに脱出するか? (知恵の森文庫)」

中学生か高校生くらいだったろうか。家にあった大前研一さんの本にはかなり刺激を受けた。この本を読んで、今でも彼から受けるインスピレーションの多いことを感じさせられた。「これからはグローバル化!」という言い方はちょっとかっこわるい、と思う。グ…

マイケル・サンデル「これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学」

今さらといえば今さらな本だが、いろいろと考えさせられるきっかけとして、ときどき本を閉じて考えたりしつつ、じっくりと読んだ。 では、正義と不正義、平等と不平等、個人の権利と公共の利益が対立する領域で、進むべき道を見つけ出すにはどうすればいいの…

金森修「ゴーレムの生命論 (平凡社新書)」

ユダヤ教の伝説に出てくる人造生命「ゴーレム」。なんとなく名前くらいは聞いたことがあって、それなりにイメージもあるこの「化け物」。ユダヤ教の偉い人物であるラビが土から作り出したこの、生命とも生命でないともいえるようなものに関する伝説やそれを…

菅原克也「英語と日本語のあいだ (講談社現代新書)」

新指導要領で打ち出されたという、「高校の英語の授業は英語で行う」という方針。この、コミュニケーション重視ともいえる英語教育の方向に疑義を呈し、文法と訳読(英語の文を日本語に訳していくこと)の重要性を改めて提起する一冊。 英語でのコミュニケー…

山元大輔「行動はどこまで遺伝するか 遺伝子・脳・生命の探求 (サイエンス・アイ新書 29)」

ふとしたきっかけで、ショウジョウバエというモデル生物で行動と神経の関係について研究をしているこの研究者の名前を知った。せっかくだから出ている本を読んでみようと購入したが、これが大当たり。この本を読むことで、これまで断片的にしかなかった神経…

安宅和人「イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」」

「イシューからはじめる」とは、解くべき問題(イシュー)を見極め、作業仮説を立ててから仕事を進めることである。欲しい結果を先にイメージすること。この方のブログの記事には感銘を受けた。この本も、面白かった。 一方で、個人的には、あまり新しい考え…