2007-08-01から1ヶ月間の記事一覧

佐藤克文「ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ―ハイテク海洋動物学への招待 (光文社新書)」

また一冊、全ての人にお勧めしたいサイエンスの本が誕生した。 陸上や空で生活する動物の生態は比較的観察しやすい。どのように暮らしているか、どう動いているかは映像でも、眼でも観察できる。では、海の中で生活する動物はどうやって観察すればいいのか?…

山折哲雄「早朝坐禅―凛とした生活のすすめ (祥伝社新書)」

「教えること、裏切られること―師弟関係の本質 (講談社現代新書)」がとてもおもしろかった、宗教学者の著者による勝手禅のすすめ。 朝起きて一人で座ってみる。一人で散歩してみる。禅のように清い気持ちになどならなくても、妄想を抱きながらでも良いから、…

スタンダール「赤と黒〈下〉 (岩波文庫 赤 526-4 9」

上巻の感想はこちら→http://d.hatena.ne.jp/PineTree/20070803/p1 下巻は主人公が田舎町から出てきたところからはじまる。上巻と下巻で描かれる恋愛のコントラストの強さがすごい。田舎町の主人公と貴婦人の間の純粋な気持ちにキュンとなる上巻とはうってか…

岩城宏之「音の影 (文春文庫)」

惜しくも亡くなられた名指揮者であり名エッセイストである著者の本はいつもおもしろい。これも文庫で見かけて即ご購入。AからZまで、順番にそれらの文字から始まる作曲家についてのエピソードを明かしていく。ただし、ためになるかどうかはわかりません。…

池澤夏樹「静かな大地 (朝日文庫 い 38-5)」

これはおもしろい。 同じ北海道出身の道産子として、池澤夏樹さんは読みつづけたい、好きな作家の一人だ。そんな彼が、北海道開拓とアイヌというテーマに真正面から取り組んで書いた600ページ超の大河小説。 淡路島から入植した宗形一族。主人公である三…

ちょっとうれしいこと

春先に書いた申請書が通った。2年前からあたためていたものを、今年の春先にかなり気合を入れて書き直したもの。申請区分の問題で通るのはほとんど諦めていただけに嬉しい。ボスがとても喜んでくれた。 まだまだ金額的にもチャチなものだし、これが通ったと…

斎藤兆史「努力論 (ちくま新書)」

タイトルが幸田露伴そのままである潔さ。 著者は「英語達人塾 極めるための独習法指南 (中公新書)」などで有名な英語学者。この人の、受験英語をしっかりと身に付けることが、使える英語力を高めるのだ、とのスタンスには共感している。会話を極度に重視して…

話したくはない

最近所帯を持った友達と夕ご飯を食べに。 サークルの、仲のいい同期だ。彼の仕事の話とか、引っ越した話とかを聞く。 こないだ、失礼なことをしてしまったにも関わらず、すごく親しげに話してくれる。 落ち着いて仕事をしているようすがよくわかって、うれし…

奈良ひとり歩き(2日目)

1日目でかなりくたびれてしまったものの、今日はだめだめではもったいないぞ、ということでまたも動いた2日目。 もう少しいけたかもと思うけれど、普段見られないものをみながら考え事をしつつ散歩して、本もたくさん読めたし、言うことなし。

奈良ひとり歩き(1日目)

行き帰り高速バス、ユースホステル宿泊で奈良に行ってまいりました。 修学旅行でも行ったことがないとはどういうこっちゃ、ということで、せっかくなので、日の出ている間はひたすら歩き倒してきました。 夜は喫茶店でひたすら読書。なんてぜいたくな。以下…

奈良文化財研究所編「奈良の寺 ― 世界遺産を歩く (岩波新書)」

突然だが、奈良に一人歩きに行くことにした。 実は、修学旅行でも家族で旅行でも訪れたことがなかったのだ。京都のお寺はけっこう回ったのに、奈良は足を踏み入れたこともない。夜行バスと、ユースホステル。大学生になったばっかりじゃないんだから、という…

佐藤卓巳・孫安石編「東アジアの終戦記念日―敗北と勝利のあいだ (ちくま新書)」

「言論統制―情報官・鈴木庫三と教育の国防国家 (中公新書)」の面白さが未だに記憶に残る著者の、終戦記念日に関するメディア論。 この本を読むきっかけは著者の名前を見て,というのが大きい。しかし、個人的に、同じ国内でも樺太や千島列島では8月15日を…

ヘッセ「デミアン (新潮文庫)」

「車輪の下 (新潮文庫)」しかしらないヘッセを、さる友人に影響を受けて読み始めることに。その人の、仕事をやめてまで読みたくなる、読む時間を欲するとは尋常ではない言いようである。 ヘッセさんは、車輪の下に代表される初期の作品が有名だが、実はその…

原田郁子「ピアノ」

ひさしぶりに、某大型レンタルCDショップのカードを作って、まとめ借り。 知人が良く聴いていたCDを自分でも借りて聴いてみたくなったのだ。 今年はそういえば、原田郁子さんをすごく近くで、生で聴いたのでした。このCDを聴いていると、そのときのこ…

鈴木大拙「禅学入門」

あるきっかけで、禅宗のお坊さんと知り合いになった。 ごく普通のお兄さん(とはいっても4人家族の父)、といった感じなのだけど、姿勢がしゃんとしていて、いつもにこにこしていて、そういうところに禅を学んだ人間のスタイルを垣間見ている。 そういうき…

石田千「月と菓子パン (新潮文庫)」

女ひとり、お買い物をし、猫と遊び、お酒を飲んで友達と話す。さわやかな風が流れるような日々のできごとに、小さい頃の思い出や友達、家族との話。 向田邦子のエッセイが好きな自分にはとてもしっくりくる文章たち。背筋を伸ばして日々暮らす一人の女性の姿…

「天然コケッコー」

夏休みだというのに一人で部屋に閉じこもっていてはいかん、と思い、平日にはしないおしゃれをして実に久しぶりに映画を観にいった。散々迷って、決めたのがこれ。島根の田舎の小さい小さい小中学校での、女の子と転校生の男の子の日々。 満員の映画館の隅っ…

長山靖生「奇想科学の冒険―近代日本を騒がせた夢想家たち (平凡社新書)」

前にこの著者の書いた「いっしょに暮らす。 (ちくま新書)」を読んで面白かったのと、この本で紹介されている人をあまりにも知らなかったので一つ読んでみることに。 この本では、明治から昭和初期にかけて発明や珍学説、空想小説などを発表した人物とその発…

スタンダール「赤と黒〈上〉 (岩波文庫)」

昨年読んだ「カラマーゾフの兄弟」に引き続いて、「いまさら名作を読む」第二弾。 仕事も大事だ。人のためにするべきことをするのも大事だ。では自分のために、今触れたいもの、したいことは?と考えたとき、どうしても最初に出てくるのが本だった。無趣味な…

三浦しをん「秘密の花園 (新潮文庫)」

これを機会に読んでみましょうということで。 カトリック系女子高校に通う三人の少女のそれぞれの視点から書かれた三章からなる、帯に書いてあるとおりの「青春小説」。 女子高といえば一方であっけらかんとした雰囲気(「スウイング・ガールズ」のような)…