2009-08-01から1ヶ月間の記事一覧

佐藤多佳子「一瞬の風になれ 第三部 -ドン- (講談社文庫)」

最終巻は、3冊の中で一番ページ数が多い。高校の陸上部の3年生となった主人公とその仲間の、それぞれの挑戦を、大会でのシーンを中心にずんずんと読ませていく。 物語を先に進ませて大団円に持っていくことに意識が行ってしまいそうな、少なくとも読む方は…

原賀真紀子「「伝わる英語」習得術 理系の巨匠に学ぶ (朝日新書)」

仕事柄、英語を使う、使わざるを得ない「理系」と言われる人々に、どのように英語を使ってきたのか、そのコツはあるのか、について聞いたインタビュー集。あまり期待しないで読んだのだが、おもしろかった。 もちろん、6人ものお話が収録されているので、そ…

郷原信郎「「法令遵守」が日本を滅ぼす (新潮新書)」

コンプライアンスについて考える二冊目。一冊目の「会社コンプライアンス」は、憲法に詳しい著者が、ある意味理想論的に、極めて真っ正面からコンプライアンスの意義について述べたものだった。それはそれでなるほどと思ったが、今回読んだこちらはかなり色…

星新一「明治・父・アメリカ (新潮文庫)」

ショートショートで有名な星新一の名前は誰もが知るところだろう。この本は、彼が自分の父親・星一(ほしはじめ)の若き時代について、何冊かの本を下敷きにして書いた評伝。 以前、同じ著者が、製薬会社を興して官僚組織と戦う父の姿を描いた「人民は弱し …

山井教雄「まんが パレスチナ問題 (講談社現代新書)」

タイトルがあまりに簡単なのであなどっていたが、これはすごい本を読んでしまった。 大学の学部生のころ、世界の政治・経済・外交について論じあうゼミに所属していた。さまざまな話題の中でも、特にパレスチナ問題は歴史的な経緯や宗教的な背景が分かってお…

堀井憲一郎「落語論 (講談社現代新書)」

前著「落語の国からのぞいてみれば」で、落語から江戸時代と現代の人間の暮らし・人生観について語ってくれた著者が、直球のタイトルで落語について論じる。 聞いた落語、音楽、読んだ小説…読んで面白かった科学論文を含めてもいい。こうした個人的な経験を…

佐藤多佳子「一瞬の風になれ 第二部 -ヨウイ- (講談社文庫)」

2冊目。試合と練習のサイクルと、それを通して絆を深めていく仲間、高校から陸上をはじめながらも次第にモチベーションを高め才能を開花させていく主人公。こうした日々が、主人公の気持ちを揺れ動かすできごとなどを挟みつつ淡々と進む…ものと読んでいたが…

塩野七生「マキアヴェッリ語録 (新潮文庫)」

マキアヴェッリというと、「君主たるもの目的を達するためには非情さも厭わないことが重要だ」というようなことを言った人、というイメージがあった。「自省録」でマルクスが語るような、人格者としての君主・指導者と全く正反対なことを述べているのだ、と…

伊藤真「会社コンプライアンス―内部統制の条件 (講談社現代新書)」

「コンプライアンス」という言葉こそ使わないが、会社だけではなく、法人化した大学(とその機能単位である研究室)もなにかと法令遵守系の指導やそれに関わるお仕事が増えている。例えば安全に実験をすること、正しくお金を使うこと、危険なものを文章にし…

佐藤多佳子「一瞬の風になれ 第一部 -イチニツイテ- (講談社文庫)」

早くも文庫化。勢いで三冊いっぺんに買ってしまった。まずはイントロともいえる一冊目。 ちょっと対象とする読者の年齢が低いかもしれないなと心配しつつ読んでいくが、普通におもしろい。いわゆる運動系の部活に入っていなかった自分としては、「もっと早く…