2010-09-01から1ヶ月間の記事一覧

島地勝彦「甘い生活 男はいくつになってもロマンティックで愚か者」

ウェブ上の連載「乗り移り人生相談」で著者のことを知って興味を持った。 週刊プレイボーイなどの編集者を務め、昭和の文豪たちと渡り合って面白い企画を次々と立ち上げた著者の、自由で大人な仕事と生活っぷりを書いたエッセイ。開高健*1にドーバー海峡を泳…

須賀敦子「トリエステの坂道 (新潮文庫)」

「ヴェネツィアの宿」「コルシア書店の仲間たち」に続いて、3冊目の須賀敦子。 仕事が忙しくて心がささくれているとき、本を読む心の余裕がないときほど、この人の本は効く。家族や仲間を通して、人間の生きざまのようなものを、静かな筆致で見せてくれるの…

服部正也「ルワンダ中央銀行総裁日記 (中公新書)」

40年前の新書である。いまだに増版され、読み継がれているのは驚きだ。日本銀行から、アフリカの新興国ルワンダへ派遣された著者。ルワンダの中央銀行のトップとして、自分の経験と知識の全てをもって政策を実行していこうとする著者。しかしその前に立ちは…

田口晃「ウィーン―都市の近代 (岩波新書)」

ハプスブルグ家の首都として、皇帝と市民がともに主役であった都市・ウィーン。この本は、ウィーンという都市が現在に至るまでの歴史を、都市のあり方をめぐる政治的対立や、その時代時代の政治思想が反映されて建てられた建築物などの紹介を通してみていく。…

原武史「滝山コミューン一九七四 (講談社文庫)」

40年ほど前の、都内のある新興住宅地の小学校。「自由で民主的な」共同体をつくる、というイデオロギー的な思想を打ち出す教師のもと、学年どころか学校全体にも影響を及ぼしていく一つのクラスがあった。班活動と連帯責任、林間学校、集団遊び…。それら一…

長沼毅・藤崎慎吾「辺境生物探訪記 生命の本質を求めて (光文社新書)」

茂木健一郎に「科学界のインディ・ジョーンズ」と呼ばれたという生物学者、長沼先生による、縦横無尽の対談集。 たしかに、彼の写っている写真は、その格好といい、ポーズといい、鋭い目といい、どこかエキセントリックな香りがする。和服も、サハラで買った…