2009-01-01から1ヶ月間の記事一覧

話してきました

前の記事はこちらです。 頭のいい人の、無邪気さと傲慢さのあいだ - 千早振る日々無事に発表が終わってから、先日のエントリについての話を、例の学生に一対一でしてきました。 コメントをたくさんありがとうございました。おかげさまで、参考にしてちゃんと…

水木しげる「ほんまにオレはアホやろか (新潮文庫)」

これは面白い!勉強そっちのけの少年時代から、戦争で南方に赴き生死の境をさまよった青年時代、さらには貧乏な紙芝居絵師時代を経て『ゲゲゲの鬼太郎』を生むまでの七転八倒の人生を水木しげるが語る。 薄い本だが中身が濃すぎて、笑いどころ満載である。い…

頭のいい人の、無邪気さと傲慢さのあいだ

追記:ちゃんと話してきました。つづきはこちら。 http://d.hatena.ne.jp/PineTree/20090130/p1 追記2:これだけでは分からないことについて、以下にも書いてみました。 http://d.hatena.ne.jp/PineTree/20090226/p1 http://d.hatena.ne.jp/pollyanna/20081…

佐藤満彦「ガリレオの求職活動 ニュートンの家計簿―科学者たちの生活と仕事 (中公新書)」

大学や国の機関、企業などに籍を置き活動する、「職業としての科学者」が完全に成立する以前の時代。物理学や天文学、数学の先駆けとなった有名な科学者たちの勤め先や懐具合はどうなっていたのか?コペルニクスやガリレオ、ニュートンらを例にとり、パロト…

ポール・オースター「ナショナル・ストーリー・プロジェクト ? (新潮文庫)」

アメリカでポール・オースターのラジオに寄せられた、一般の人々のお話を集めた本。1巻はこちら。 2巻は、『見知らぬ隣人』、『戦争』、『愛』、『死』、『夢』、『瞑想』というテーマからなっている。1巻に比べると、人と人の関わり合いに関する話が多い…

近藤史人「藤田嗣治「異邦人」の生涯 (講談社文庫)」

大正初期にフランスに渡り、モディリアーニなどが活躍した1920年代の華やかなパリの寵児となった藤田嗣治。第二次大戦の影が濃くなり日本に戻るも、日本の絵画界は彼に冷たかった。自らの芸術を認めてもらおうと書いた戦争画により、戦後、画家としての戦争…

「カポーティ [DVD]」

「ティファニーで朝食を」のトールマン・カポーティがノンフィクション小説「冷血」を書くまでを描いた、実に淡々とした映画。既に社交界で一定の評価を得ている小説家のカポーティは、新聞記事のある殺人事件に目を留める。4人家族が惨殺されたこの事件に…

「おくりびと」

本木雅弘が納棺師を演じる映画を、映画館で見てきた。 なにがいいって、納棺師という仕事の細かい所作が、この映画を引き締めている。もちろん父と子とか、死に向き合う人々の姿とか、心揺さぶられないわけではないのだけれど、そういうものを描いた物語や映…

「イン・ザ・プール [DVD]」

自覚してるかどうかはそれぞれながら、どこか病的なところを抱えた三人の人間の姿。その周辺の人々の話すことや様子もすべて、この映画のシニカルな雰囲気がたまらない。松尾スズキが大暴れして、なんだか日常生活があほらしく思えてくるような雰囲気を発散…

橋本治「あなたの苦手な彼女について (ちくま新書)」

自分で自分の書いているものを「ややこしい」と言ってはばからない橋本治の新書の新刊。くねくねとしつこく物事を考えていく著者の本に魅入られている。しかし、どこがどう面白いのだ?読みたくなるようにおすすめしてくれ、と言われるとどうしたらいいのか…

畑中正一「殺人ウイルスの謎に迫る! (サイエンス・アイ新書)」

ウイルス学の大御所による、今話題になっているさまざまなウイルスについて解説するわかりやすい新書。マンガも入っていて誰でも読みやすく仕上がっている。 しかし中身はけっこう濃い。ノーベル賞を受賞したHIVやパピローマウイルスの発見や病気を引き起こ…

「人のセックスを笑うな [DVD]」

本の感想はこちら。 遠くから写すアングル、説明が少ない展開、長回し。空気を大事にする映画らしい映画。でもそれがまたよい。二人の会話がとっても自然で、あるカップルの一場面を覗き見ているような印象を受ける。二人の形はいろいろあるんだよ、という意…

「クライマーズ・ハイ [Blu-ray]」

お正月映画特集第二弾。85年の日航機墜落において、群馬県の地方新聞社が、彼らにしかできない報道をプライドをかけて追い求める。ほとんどどういう話かを知らなくて見たが、思っていたよりも室内劇、という要素が大きかった。大きな山場があるのかと思い…

森見登美彦「夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)」

文庫になったらぜひ読んでみようと密かに覚えていた一冊。京都の大学にて、『黒髪の乙女』と、想いを寄せ後を追い続ける『先輩』。二人の前に次々と奇々怪々な人々が現れ、珍妙な事件が引き起こされる…。 主人公の女の子とその周辺の人物のキャラクターの立…

下條信輔「サブリミナル・インパクト―情動と潜在認知の現代 (ちくま新書)」

このあいだテレビを買った。最近のテレビは値段も機能もさまざまで、販売員さんの話を聞いても、本当に納得して買ってよいのか決めかねる。また、印象に残ったのが、発色を不自然なほどはっきりさせる機能を持ったものがそれなりにあったこと。しかし、それ…

ポール・オースター「ナショナル・ストーリー・プロジェクト ? (新潮文庫)」

多くの市井の人々がポール・オースターに向けて寄せた実話の数々をまとめた物語集。柴田先生訳による、ゴールデンコンビとも言える二人の仕事によって、一般の人の数多くのお話が、なんとも見事にオースター風味の短編になっている。 『動物』、『物』、『家…

「JUNO/ジュノ [DVD]」 [DVD]" title="JUNO/ジュノ [DVD]" class="asin">

お正月映画特集、第一作。思いがけず妊娠してしまった16歳の女の子が、里親を見つけて子どもを生むまでの日々。 とにかく会話が面白い。スラングが多いせいか細かい英語は聞こえないけど、かみ合っていない会話の感じとか、ギャグは字幕でも十分に伝わってく…