2007-10-01から1ヶ月間の記事一覧

加藤文元「数学する精神―正しさの創造、美しさの発見 (中公新書 1912)」

現役の数学者が、一般向けの数学の本を書くのは、難しいことなのだろうなと思う。サイエンスの本はけっこう読むが、生物系が一番書きやすそうだ。一般の人にとっては、身近に覚えがあるもの、もしくは動物や人間の話が中心になるものが読みやすいだろうから…

ドストエフスキー「罪と罰〈下〉 (岩波文庫)」

だらだらと時間をかけながらも読破。 これまた精神に負荷のかかる読書であった。しかし、途中で退屈に思うことはまったくなかった。ずーっと面白いぞ、面白いぞ、と思いながら読んでいた。 本読みを自称しながら、名作だのと呼ばれるものは面白くないものだ…

小谷野敦「日本の有名一族―近代エスタブリッシュメントの系図集 (幻冬舎新書)」

「もてない男」であまりにも有名な著者が、さまざまな日本の有名な一族の家系図とその個別の人物の略歴を紹介する一冊。 有名一族、とあるが、もちろん同じ家系図に載っている一族の中には、それほど有名でない人もいる。もちろん、有名かどうかは読む人がど…

ゆっくりしたい

今日はひとりごと。 平日は早朝から深夜まで、土曜日も仕事、日曜日も用事があったり…で休む暇がありません。 書評のペースがまったく上がらないのはそのせい。 平日もう少しゆるめにすればいいんだろうけど、そういう気持ちにまったくなれない。いろいろな…

高田京子・清澤謙一「ニッポン最古巡礼 (新潮新書)」

『日本最古の』と名のつくさまざまな物件を巡る旅。条件は、現役で使われており、教科書に載っているようなものでないこと(必ずしもそうなっていないものもあるが)。 そういう古いものは近畿地方などに集中しているかと思いきや、この本で紹介される物件は…

蔵本由紀「非線形科学 (集英社新書 408G)」

新書には珍しいずばっとしたタイトルに逆に惹かれた。普通こういうのを書くときは、もっとひねったタイトルをつけたり気を引くような文句をはさんだりするものだが。ここまでひねらずに直球でくるところに、著者の研究に対する誇りとか自信を感じる。 数式を…

「アイデン & ティティ [DVD]」

友達に勧められて、レンタルビデオショップに毎週通ったが、いつも貸し出し中で一月も待ったこの映画。確かに面白かった。 バンドブームが去るとともに落ちぶれていく一つのロックバンド。商業主義とやりたいことの間で、どんどん方向が見えなくなっていく。…

「モーターサイクル・ダイアリーズ 通常版 [DVD]」

革命家、チェ・ゲバラの若き日の旅の記録。これもいまさら、といった感じだが。 南米大陸を巡る旅に出る二人。そこで出会うさまざまな南米の生活者たち。貧しい人、病んで隔離された人…彼らに出会い、それを見る、少し恵まれた境遇にいる主人公のまなざしが…

「ミリオンダラー・ベイビー [DVD]」

いまさら見てみる。単なる成功物語ではなかったのだと見てはじめて知った。映画をやっていたときの売り文句からしても、そりゃそうだ、なのかもしれないがちょっとびっくり。 貧乏でもなく傷ついてもいない、不自由なく育ちストイックでもない人間なんてつま…

ドストエフスキー「罪と罰〈中〉 (岩波文庫)」

中巻に至って、事件を起こすに至った主人公の思想がほぼ明らかになる。家族との再会もつかの間、離れてしまう心。 と同時に、次々と主人公の周囲にあらわれる怪しい人間の数々…。実のところは彼らのほうが、社会的にまっとうな、いわゆる普通の人間なのかも…

山田史生「日曜日に読む『荘子』 (ちくま新書)」

孔子や老子に比べるとその知名度は低そうな荘子は、中国の思想家である。こう書いていながら、自分でも彼がどのようなことを言った人なのかほとんどわからない。 ただ、ヘンな人だということはわかる。この本も、荘子の思想を紹介しながらも、例え話は縦横に…