「モーターサイクル・ダイアリーズ 通常版 [DVD]」

革命家、チェ・ゲバラの若き日の旅の記録。これもいまさら、といった感じだが。
南米大陸を巡る旅に出る二人。そこで出会うさまざまな南米の生活者たち。貧しい人、病んで隔離された人…彼らに出会い、それを見る、少し恵まれた境遇にいる主人公のまなざしが徐々に変わっていく。
主人公の、だけでなく主人公を見る周りの人々の眼も実に印象的。必要以上に境遇に関する説明をしなくても、何かを訴えている気持ちや人生の辛さは伝わってくる。
この映画と同様のロードムービーで、まったく違う場所を旅しているにもかかわらず、どこか共通したものを感じるとすれば、それは旅をしたからといって表面上なにが変わるわけではないということだ。でも、そこで見たもの聞いたもの、感じたことは徐々に人の奥の思いを変えていく。それが変わっていっているのだな、と見ているものに感じさせるのは難しいことだと思うのだけれど、この映画の主人公は物憂げだったり意志を感じたりするような眼からそれを見るものに感じさせてくれる。俳優ってすごい仕事だ。
旅の最中も一人静かに本を読むのが好きな主人公。そのたたずまいがなんともいいなぁと思った。静かさな熱さを感じる映画。