2008-05-01から1ヶ月間の記事一覧

山田詠美「風味絶佳 (文春文庫)」

映画化された印象や帯などから、いかにも恋愛小説、という感じではないかと思っていたが、さすがに山田詠美。もちろん人間関係の一つの形として恋愛を大きく取り上げてはいるものの、単に恋愛というにとどまらない人間関係の機微を描いており、性別や年齢を…

横尾忠則「隠居宣言 (平凡社新書)」

著者の名前は良く知っている。でありながら、自分の年齢からくるものかもしれないが、なかなかこれまでの、そして現在の活躍をあまり存じ上げないのである。 それでも、この本は面白い。70歳になって、タイトル通りの「隠居宣言」をした著者の思うところ、こ…

平安寿子「くうねるところすむところ (文春文庫)」

単行本が出ているときに「これ読みたいな」と思った本は必ず思い出す。もはや特技と言ってもいいくらいだ。この本も、文庫新刊で平積みになっているのを見て、ああこれそういえば、と購入。おもしろかった。タイトルが落語にちなんだものである時点で面白く…

内山九十九「900点突破!上級者への新TOEIC Test対策」

いまさらながら、初めてのTOEICに向けて勉強中。特に何か必要なわけでもないが、一度だけ受けてみたかったので、少し集中してやってみることに。あくまで趣味といってもいいので、だらだらやるものでもないし。 まず気軽に取り組める文庫本タイプのこちらで…

湯浅誠「反貧困―「すべり台社会」からの脱出 (岩波新書)」

面白い。ホームレス支援活動で有名な著者が書いたはじめての新書は、実に中身が濃い一冊となっている。タイトルが示す通り、貧困と戦う著者の思想と実践を書いたものだが、なんというか、うまいのである。 先に書いてしまうと、これを書いている僕自身は、こ…

吉村典久「部長の経営学 (ちくま新書)」

会社は誰のものだろう?株主のもの、というのはよく言われるし分かるが、短期的にしか関わらない多数の「株主様」にばかり目を向けながら、会社の長期的な成長はなしえるものだろうか?こういった問題に対する解決策を、タイトルにある「部長」を中心とした…

吉田修一「春、バーニーズで (文春文庫)」

同じ著者の「最後の息子」の主人公のその後を綴った短編集。…ということは読み終わってから裏表紙を見て初めて知った。 「最後の息子」に比べてずいぶんとトーンが暗く、続いた話になっているのだということに気づかなかった。それだけではなく、この本の連…