2009-07-01から1ヶ月間の記事一覧

鴻上尚史「「空気」と「世間」 (講談社現代新書)」

著名な演出家であり、演劇を長くやってきた観点から「あなたの魅力を演出するちょっとしたヒント」や「孤独と不安のレッスン」などの本で、身体や言葉の使いかた、他人とのコミュニケーションのとりかたについて優しく読者にアドバイスしてくれた著者。 最近…

佐野眞一「渋沢家三代 (文春新書)」

「旅する巨人―宮本常一と渋沢敬三」に引き続いて、同じ著者が渋沢家の三代の生き生きとした姿を伝える評伝。 日本の資本主義の父とも言える栄一、遊びに生涯を捧げた息子の篤二、宮本常一ら民俗学者を支援し戦後は『にこやかな没落』を選んだ孫の敬三。敬三…

黒田涼「江戸城を歩く(ヴィジュアル版) (祥伝社新書 161)」

特に詳しいわけでもなく、ことさら興味があるわけでもないのに何となく買ってしまったが、面白かった。 『都市構造の発展が江戸城に規定されている(p246)』東京。それがよく分かるのは、江戸時代にそこに何があったのか、現在の地形と並べて比べてみること…

飯田道子「ナチスと映画―ヒトラーとナチスはどう描かれてきたか (中公新書)」

これはおもしろい。目のつけどころも、内容も、かなりのツボだった。 開発されたばかりの映画というメディアを最大限に利用して、プロパガンダ戦略を展開したヒトラーのナチス。逆に戦後は、ナチスとその「悪行」を対象にした映画が数多く生み出され、時代と…

夏目漱石「夢十夜 他二篇 (岩波文庫)」

こうやって本を読むたびに感想を書いていると、新書などはまあいいのだが、小説などは、何か書くのが恐れ多いように思うときもある。読んだのだからよんだままでいいじゃないか、というような本。 この人のものなどはその一つだと思われていると思うが、ここ…

須賀敦子「ヴェネツィアの宿 (文春文庫)」

最近不毛とも思えるような仕事が多く、心が疲れている。本にのめり込んでいるときだけが唯一心が落ち着く。しかもこういうときは、新書などではなく、読んでいてストレスのない、評価の定まっている本がいい。 というわけで須賀敦子をはじめて読んだ。 昭和…

傅田光洋「皮膚は考える (岩波科学ライブラリー 112)」

最近、自分の皮膚の健康状態について気にするようになり、皮膚についてよく知ろうと本を読んでいる。以前読んだ、少し硬めの「皮膚の医学」に続いて、柔らかい口調が印象に残るこの一冊を。この本では、化粧品会社に勤める研究者である著者の研究の結果を中…

森見登美彦「きつねのはなし (新潮文庫)」

「夜は短し歩けよ乙女」とはまた違う雰囲気の、少々おどろおどろしい京都が味わえる短編集(帯には「奇譚集」とある)。 キャラクター造形の巧みな噺家さんが、古典落語の怪談噺を一席語っているような感じ。そういう噺によくあるように、親しみのある仲間の…

「考える人 2009年 08月号 [雑誌]」

特集がかなりおもしろい。本屋で即購入。 日本の、ここ300年の科学者(既に亡くなっている方に限る)を100人取り上げ、それぞれの科学者の生涯や考え方がわかる本を一冊ずつ紹介するという企画。 300年前からだから、関孝和や平賀源内など江戸時代…