2008-07-01から1ヶ月間の記事一覧

渡辺将人「見えないアメリカ (講談社現代新書)」

真新しい視点のアメリカ政治論。おもしろかった。 アメリカは知られているようにその構成員が極めて多様な国である。エスニック(民族)や宗派、性別、地域性など、それぞれの人が基盤とするアイデンティティは違う。しかし、この本の前書きでも触れられてい…

半藤一利「それからの海舟 (ちくま文庫)」

東京で生まれ、佐幕藩として有名な長岡に暮らしたこともある著者。徹底的な「薩長嫌い、幕府びいき」の立場から、勝海舟について講談風に語る。 すがすがしいほどの肩入れようは、半端に客観的、中立であろうとする書き方よりもずっと好ましく読める。 西郷…

「ちりとてちん 完全版 DVD-BOX II 割れ鍋にドジ蓋」

TV

一枚目→「ちりとてちん 完全版 DVD-BOX I 苦あれば落語あり(4枚組)」 - 千早振る日々に引き続き。それにしても、これほど見るものを引きつける力があるドラマはそうない。 主人公が落語家として修行をはじめ、結婚を経て成長していく第二巻。 その前半の中心…

永田和宏「タンパク質の一生―生命活動の舞台裏 (岩波新書)」

久しぶりに生命科学系の一般向け本を。まず、タンパク質と言われてもなんだかよく分からない人のために、この本の「はじめに」から引用を。 タンパク質と言えば、すぐに牛や豚などの肉、あるいは大豆などの植物性タンパク質など、食べ物を一般には連想する。…

志ん朝一門「よってたかって古今亭志ん朝 (文春文庫)」

2001年に惜しくも亡くなられた名人、古今亭志ん朝の弟子たちが師匠との思い出を語る一冊。 さすがに噺家さんたち、しかも同門の勝手知ったるメンバーが集まって話しているだけあって、話が面白い!志ん朝さんについては、どちらかというと彼の芸の良さだとか…

川本三郎「向田邦子と昭和の東京 (新潮新書)」

けっこう、本はしっかり立ち読みしてから買うほうだ。しかし例外もあって、落語のことを題材にした、もしくは書いた本、そして向田邦子のことを書いた本に目がない。これもあまり中身を読まずに思わず買ってしまったうちの一冊。 使ったことば、描いた食事、…

今橋映子「フォト・リテラシー―報道写真と読む倫理 (中公新書)」

「事実をありのままに切り取る」と我々が思っている写真。しかし、写真の成立が人類の歴史上それほど昔のことでなかったのと同じく、そうした考え方自体も実は、近年(約半世紀前)にはじめて現われたものだった。 テレビ番組などの視聴にあたって「メディア…

「ちりとてちん 完全版 DVD-BOX I 苦あれば落語あり(4枚組)」

TV

DVDを知人から借りたものを土日で一気に見たが、これはすごい。DVDの売れ行きが良いらしいのもわかる。 若狭の塗り箸職人の娘が、大阪に出て上方落語を志す、というお話。 主人公が小さい頃に、おじいさんの工房でかかっている落語のテープを聞くのが彼女が…

植村鞆音「直木三十五伝 (文春文庫)」

芥川賞・直木賞という賞の名前くらいは誰でも知っている。そのなかでも、芥川龍之介の名前と彼の書いた小説を知らない人はいないだろう。 しかし、直木さんって、どんな人?…というのが普通の人の反応だろうし、僕もこの本を読むまで「菊池寛と仲が良かった…

中沢新一「森のバロック (講談社学術文庫)」

明治から昭和にかけて、世界を飛び回ったのち、和歌山の森で生物学や民俗学について深く独自の思索を繰り広げた南方熊楠。彼の生きた19世紀末から20世紀初頭の学問の潮流を解説しつつ、彼の学問の先端性を示す。人との接触が少なかった彼だからこそ見通せた…