2008-02-01から1ヶ月間の記事一覧

辰野和男「文章のみがき方 (岩波新書)」

文章を書くことについての本は数あれど、この本はそうした文章論から離れて、そのものとしてもとても面白く読めた。 本文は四章構成になっている。一つ一つの文章は、文章の達人である作家たちの文章論の引用をきっかけにしており、原書にあたってみたくなる…

平山令明「熱力学で理解する化学反応のしくみ―変化に潜む根本原理を知ろう (ブルーバックス)」

『間違いなく正しいことが認められている唯一の法則(p227)』であるところの熱力学第2法則を、基礎の基礎から紹介。帯にあるように『驚くほど明確に理解』とまではいかなかったが、この本を読んでいれば熱力学に挫折はしなかったのではないかと思う。 お金…

本田直之「レバレッジ・シンキング 無限大の成果を生み出す4つの自己投資術」

話題の(といっても少し前の)ビジネス書を古本屋で見つけたので読んでみた。 リバレッジとは、投資の分野でよく出てくる言葉だ。資金の何倍ものお金を動かせる信用取引などで、わずかなお金を用いてテコのようにどんどんお金を増やす、という意味だと理解し…

長山靖生「貧乏するにも程がある 芸術とお金の“不幸"な関係 (光文社新書)」

歴史上の有名な文学者と、その金銭に関するあれこれについての話題から、文学とはいかなるものであるべきかを語る。 個人的にはこういう話に単に興味があるのでさらさらと読んでしまったが、この本の中身に興味を持てるかはかなり個人差があるだろう。 夏目…

鈴木道彦「越境の時 一九六〇年代と在日 (集英社新書)」

プルーストの「失われた時を求めて」という有名な小説を訳したことで有名なフランス文学者である著者が、1960年代、在日朝鮮人の起こした事件に衝撃を受け、それを支援したときの回想録。 なぜこの本を手に取ったのかいまだによく分からない。でも、読んでみ…

安達正勝「死刑執行人サンソン ―国王ルイ十六世の首を刎ねた男 (集英社新書)」

久々に海外の歴史もの。フランスにおいて、国王の名のもと犯罪人の死刑を執行することを職務としていた死刑執行人の家の四代目として生まれた主人公シャルル−アンリ・サンソン。激動のフランス革命の時代に生まれた彼は、死刑執行方法の変化や、激しく移り変…

安河内哲也「できる人の英語勉強法」

英語の勉強法の本はたくさん読んだ。斎藤兆史先生の、受験英語をしっかりやることこそ英語の達人への近道である、という説も大変納得がいくものだった。しかし、結局あれだこれだと振り回されてやり方を決められないのは自分が凡人である事を表わしているの…

田嶋幸三「「言語技術」が日本のサッカーを変える (光文社新書)」

ワールドカップの予選が始まり、ナショナルチームの勝敗に一喜一憂する時期になった。個人的には、サッカーが強かろうと弱かろうとたいした問題ではないが、一時はオリンピックで銅メダルを取れていた日本サッカーが、なぜこうも長い低迷にその後陥ったのか…

入不二基義「哲学の誤読 ―入試現代文で哲学する! (ちくま新書)」

率直に言って、変な本ですよね。いやほめことばです。(あとがきより、野矢茂樹のコメント) 入試現代文の哲学の文章を読み解いて、問題設定のおかしさや各予備校が作った解説の誤読を指摘する実に興味深い試み。入試シーズン真っ最中。もう思い出せないほど…