2011-09-01から1ヶ月間の記事一覧

狩野博幸「若冲 ――広がり続ける宇宙 Kadokawa Art Selection (角川文庫)」

初めて見た人なら、誰でもその眼を引きつけられるであろう江戸中期の画家、若冲。裕福な青物問屋の長男として生まれ、十八世紀なかばの京都における文化人のサロンからその実力を見せていった稀代の画家の姿が、新発見の絵、新しい知見などが織り交ぜられつ…

内田和俊「ちょっとした言葉グセを直すだけで、あなたの人生は変えられる!」

内田和俊さま、この場を借りて献本御礼申し上げます。このような、匿名・無名の1ブロガーにまで、嬉しいことです。言葉をポジティブなものに変えれば、気持ちにもポジティブな影響が及ぶ。自分の言葉グセに注意しネガティブな言葉をやめていくことで、ネガ…

ロンブ・カトー「わたしの外国語学習法 (ちくま学芸文庫)」

『5カ国語の同時通訳者、10カ国語の通訳者、16カ国語の翻訳者』であるという著者による、全ての言語に通用する独自の外国語学習法がここに明かされる。訳は、ロシア語の達人、米原万里である。これまで英語学習法というものをいくつか見てきたが、この…

中尾佐助「花と木の文化史 (岩波新書)」

この著者と言えば「栽培植物と農耕の起源」という本が有名だが、この本ももっと注目されても良い。そのくらい、実に面白い。 穀物をはじめとする有用栽培植物について語った「栽培植物と農耕の起源」から水平展開するかたちで、この本では花卉園芸植物につい…

長沼毅「形態の生命誌―なぜ生物にカタチがあるのか (新潮選書)」

『辺境生物探訪記』がとても面白かった著者が、動物の骨格、口、植物の葉のでかた…さまざまな「カタチ」について、妄想しつつ、調べつつ、思考を広げていく刺激的な一冊。 仮面ライダーとエイリアンの顔から、節足動物の口の話へ。天使の翼から、昆虫の翅の…

モース研究会「マルセル・モースの世界 (平凡社新書)」

あとがきにも書いてあるように、モースと言えば、大森貝塚の人かと思っていたが、違うようだ。あちらは、エドワード・モースという生物学・博物学者。この本のモースは、社会学者・人類学者のマルセル・モースである。「贈与論」という主著のタイトルくらい…

櫻井武「睡眠の科学―なぜ眠るのかなぜ目覚めるのか (ブルーバックス)」

タイトルから、レム睡眠とノンレム睡眠の話でしょ、睡眠には約1時間半のサイクルがあるから、睡眠時間がその倍数の時間だと起きやすいのだよね、などという知ったかぶりな先入観があったが、少し読むだけで、それが言いようがないほど浅はかさであることを…

塚谷裕一「植物の「見かけ」はどう決まる―遺伝子解析の最前線 (中公新書)」

実家の本棚にしまってあるのを発見して再読。なぜまた、こういういい本を実家に押しやってしまったものか。本の価値の判断は、意外とそのときの気分だったり、短絡的である。 著者、弱冠31歳の新書である。これだけでも驚きだが、実験植物アラビドプシスと…

米原万里「心臓に毛が生えている理由 (角川文庫)」

通訳・翻訳という言語を相手にする仕事ほど、文化の違いに敏感にならざるを得ないものはないだろう。 ロシア語の通訳者として世に出て、「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」というぶったまげるほどの(ほんとうに、ほんとうに面白い)一冊を世に出した著者の、…

吉本隆明「真贋 (講談社文庫)」

吉本隆明が、「精一杯の率直な思いを披瀝」したインタビューがまとめられた本書。 赤ん坊時代の親の影響は一生ついてまわるものだからうんぬん…という話など、わからなくはないが少々くどいお話もあるものの、さすがにハッとさせられる一言が多く、考えさせ…