2006-11-01から1ヶ月間の記事一覧

村松秀「論文捏造 (中公新書ラクレ)」

韓国で、そして日本で…最近バイオ系の研究で話題になった論文の捏造問題。 しかし、巻き込んだ人の規模も、研究のスケールも段違いの捏造が物理の世界にあった。この本は、NHKで放送されさまざまな賞を受賞した、「史上空前の論文捏造」というノンフィク…

陳舜臣「巷談 中国近代英傑列伝 (集英社新書)」

三国志の人物ならみんな良く知っているが、それ以外の中国の英雄たちは余り知られていない、という前書きにドキッとしてしまった。確かに、項羽と劉邦くらいは知っているし、本書の著者の「十八史略」くらいは読んだことがあるけど、それにしても。この本で…

自分ひとりの成功は難しくない

仕事をしていると、同期の間でも、たった一年くらいで、あがった成果や、上司からのおぼえの良さに差が出たりするのは仕方がない。 人はその違いを才能とか努力のせいにするだろう。でも、実は一年二年くらいの成果の差は、ちょっとやっている仕事が身に合わ…

久住昌之, 谷口ジロー「孤独のグルメ (扶桑社文庫)」

そこらで評判のマンガの文庫本が、ふと入ってみた本屋のレジに積んであるのを別の本を買ってレジに出すときに発見してしまった。思わず、「あっ、これもください」と店員に追加で渡すと、少し怪訝な顔をされた。 本屋ですら、ふらっと入ったお店の魅力、そこ…

小川洋子「深き心の底より (PHP文庫)」

ゆっくり、読み進んだエッセイ集。ナチス迫害下の隠れ家で日記を綴ったアンネへの思い、自分を静かに支えてくれている神への思いが伝わってくる。 小説は、ひとつづつ言葉の石を積み上げていく作業なのだという。旅行についてのエッセイでは、とにかく一人に…

「私を助けてくれ」なんて言えないものだ

人は、例えそういう状況をもたらしたのが構造的な問題であろうと、「自分がかわいそうだ、助けてくれ」なんてことは言い出せないものだ。 いじめにせよ、仕事上の苦難にせよ、よほど隠れた形で行われない限り、誰かが苦しんでいること・大変そうなことは少し…

海原純子「こころの格差社会―ぬけがけと嫉妬の現代日本人 (角川oneテーマ21)」

経済的に潤うものと、貧しいものの差がはっきりとしてくる格差社会。 では潤っているものは気持ち的にも余裕があるのか、といえば、第一章に「勝ち組のゆううつ、負け組のいら立ち」とあるように、そうではないのだと著者は述べる。誰しも、テレビに出てくる…

恩師にばったり

ハードな毎日。夕方に、ふとおなかに何か入れようと外に出ると、しばらくお会いしていなかった恩師にばったり。 「ちょっとここでご飯食べていこうと思って」と笑顔で、いつもの柔らかい口調で話してくださる。先生と呼べる人は小学校から数えるとかなりの数…

小島寛之「文系のための数学教室 (講談社現代新書)」

先日「入門!論理学 (中公新書)」を読んだ勢いで、数学の「おいしいとこ取り」をもう少ししてみた。 高校の数学をわかりやすく解説したような章もあれば、ほとんど数学と関係ないのではないか、というほど数式が出てこない章もあるのがタイトルで「文系のため…

保阪正康「“敗戦”と日本人 (ちくま文庫)」

敗戦時にその職にあった軍人、政治家、在野の文学者。こうした人びとが、どのように敗戦を見つめていたのか、日記などの資料から読み解いていく。もちろん、人は自分に都合のいいことしか書かないようにするものだ。 敗戦時の彼らもまた、自分に降りかかる責…