小島寛之「文系のための数学教室 (講談社現代新書)」

先日「入門!論理学 (中公新書)」を読んだ勢いで、数学の「おいしいとこ取り」をもう少ししてみた。
高校の数学をわかりやすく解説したような章もあれば、ほとんど数学と関係ないのではないか、というほど数式が出てこない章もあるのがタイトルで「文系のための」としたゆえんだろうか。1章では、「入門!論理学 (中公新書)」で詳しく説明されていた「数理論理」の話をコンパクトに解説。日常の論理とどう違うのか、や確率との関係など、少々違った切り口が興味深く読めた。
最終章では、「数学は何の役に立つのか」という数学アレルギーの人が抱いてしまいがちな問いに対して、「数学」を「あなた」に置き換えたときにその問いの残酷さがわかるだろう、と切りかえし、数学の意味に哲学的に迫る。ここでは、野矢先生も本を出しているウィトゲンシュタインが引用され、哲学と数学の関係の深さがよくわかる。
…と書いても、決して難しい本ではないのはタイトルの示している通り。一方で「誰でもわかる」系の薄っぺらい本にはない深さがあって、一読の価値あり。