2011-01-01から1ヶ月間の記事一覧

玉村豊男「世界の野菜を旅する (講談社現代新書)」

珍味を食べて、それについて熱く語るエッセイが面白いのは当然だ。一方で、こんなにも日常生活に染み付いた普通の野菜について、その歴史やら文化やら著者の思い出やらを書いていって面白いエッセイはなかなかないと思う。 私の仕事は、ツアーガイドのような…

山崎将志「残念な人の思考法 日経プレミアシリーズ」

なんとなく読みやすくてためになりそうな本を衝動買いしたくなるときがある。これも、なにかの待ち時間に入った書店で売れてます、と宣伝されていた一冊。仕事は、プライオリティ(優先順位)を正しくつけることが大事ですよ、という主張を中心にして、仕事…

重松清「ビタミンF (新潮文庫)」

歳は37、8くらい。男性、会社員。関西以西の田舎から、18歳のとき、上京。バブル時に入社し、ひたすら仕事に励んできた。子どもは2人。家族の住むマンションは、高いローンで新興団地に購入した。少し老いを感じつつも、人生こんなものでよかったのか…

内田樹「日本辺境論 (新潮新書)」

昨年とっても売れて評判になったこの本。NHKのブックレビューで話題になっていたので、楽に読めるし正月休みにはぴったりと思い読んでみた。過去の「日本文化論」を受けてまとめ、歴史的史実を引きながら、「辺境」であり「世界標準」を作り出せない、どこか…

マーカス・バッキンガム&カート・ホフマン「まず、ルールを破れ―すぐれたマネジャーはここが違う」

一言で言えば、適材適所、ということだろう。長年勤めた人が、誰でも部下を管理する立場になれる、というのは間違っている、とこの本は強調する。 特に日本の会社では、よほど専門職として雇われていない限り、長年勤めて力量が上がってくると、部下を管理す…

豊田義博「就活エリートの迷走 (ちくま新書)」

就職活動で実にうまく自分を売り込み、内定をいくつも取るような「就活エリート」。彼らが、入社以降にうまく会社の仕事に適応できていない例が多いとこの本ではいう。単に、採用する側に見る目がなかったという主張はこの本ではなされない。エントリーシー…

武田尚子「チョコレートの世界史―近代ヨーロッパが磨き上げた褐色の宝石 (中公新書)」

定評ある中公新書の「世界史」シリーズ。既に「コーヒーが廻り 世界史が廻る」というコーヒーの世界史を扱った本は出ているが、今度はチョコレート。カカオ豆と、それを原料に作られたココア・チョコレートの話である。『砂糖とカカオの生産地はほぼ重なって…

原武史「「鉄学」概論―車窓から眺める日本近現代史 (新潮文庫)」

時間的・空間的な広がりをもつ鉄道を媒介にして、時代なり、社会なり、都市なり、郊外なりを論じてみれば、一般の教科書レベルの歴史とはまったく異なる、日本の近現代を俯瞰する巨視的な世界が見えてくるはずである。(p5) 鉄道知識をさらけ出すだけの、お…

岩田健太郎「予防接種は「効く」のか? ワクチン嫌いを考える (光文社新書)」

効くという人もいれば、効かないという人もいる。そもそも嫌いだという人もいたりする。そういう複雑な感情を持たれている、「ワクチン・予防接種」について、いろいろな観点から、その効果や副作用についての現在の知見を紹介していく。読み終わって、サブ…

加藤文元「ガロア―天才数学者の生涯 (中公新書)」

「数学する精神」で、最先端の話題まで含まれた数学の本を読む楽しさを味合わせてくれた著者。今度の新書は、革命期のフランスで活躍し、20歳で決闘により命を落とした天才数学者、ガロアの評伝である。 前の本を読む限り、著者は、数学の難しいアイディアを…