2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧

保阪正康「田中角栄の昭和 (朝日新書)」

いかなる分野であれ、大きな仕事をしていこうとするとき、多かれ少なかれ、政治的な動きは必要になる。それは、誰かに何かをやってもらうこと、動いてもらうこと、である。 ぼくでなくても、ある程度仕事をしてくると、よほど自分一人の才能に溢れる人でなけ…

マーク・ピーターセン「日本人が誤解する英語 (光文社知恵の森文庫)」

「日本人の英語」という岩波新書の名著をものしている著者による、日本人への英語指南書。 英語を教える立場でありながら、日本語を学ぶ立場をも突き詰めようとし、二つの言語のニュアンスの違いという繊細さを楽しんでいるような著者。ジョークも交えたその…

ポール・オースター「ティンブクトゥ」

ミスター・ボーンズは知っていた。ウィリーはもう先行き長くない。(p5) 「我が輩は猫である。名前はまだない。」よろしく、短くシンプルな書き出しで始まる。ちなみに、主人公は犬である。とはいっても書いているのはオースターである。その物語の世界は見…

須賀敦子「コルシア書店の仲間たち (文春文庫)」

一年くらい前に読んだ「ヴェネツィアの宿」に引き続き、少し疲れているときこそ、こういう本である。ミラノの修道院の敷地内に、カトリック左派の活動拠点として設立された一軒の書店。そこは、著者にとってかけがえのない友人たちの集う場所であった。 仲間…

中野京子「名画で読み解く ハプスブルク家12の物語 (光文社新書 366)」

先日読んだ本に続いて、少し別な角度からハプスブルク家を学ぶ。歴代の皇帝やその妻を描いたオールカラーの絵画とともに、その人生が紹介される。 歴史上の人物は、名前だけで理解していくのはなかなか大変だ。ハプスブルク家ともなれば、〜何世、などと似た…