2008-08-01から1ヶ月間の記事一覧

小平邦彦「怠け数学者の記 (岩波現代文庫)」

戦後早い時期にアメリカに留学し、そのご現地で数学者として世界的に活躍した著者のエッセイ集。これを読むと、学者として世界的に成功するにはどういう心持ちであればいいのか、などということを考えてしまう。 あくまでイメージでしかないが、数学者は、頭…

晴山陽一「英語ベストセラー本の研究 (幻冬舎新書)」

これまで自身で英語関連本をさまざまに生み出してきた著者が、戦後から現在にかけて出版された英語学習に関してのベストセラー本を読み直して比較し、英語教育はどのようにするのがよいのか、について提言する。全てがすぐに身になるわけでもないのに英語本…

永田俊也「落語娘 (講談社文庫)」

ひさびさに、落語を題材にした面白い小説に出会った。 おじさんに連れて行ってもらったのをきっかけに落語に深くのめり込んでいき、落語家見習いとして修行を始める女主人公。彼女が入門することになったのは、家族を亡くし、男一人で組織からも干された中堅…

絲山秋子「ニート (角川文庫)」

この人はダメな男を書くのがほんとうにうまい。ただダメな様子を書くのではなく、そこに至ってしまうような人生も十分にありうるのだ、という人生の大変さや不条理さみたいなものを登場人物の様子が語っているのである。 男だけではなく、登場人物どうしで交…

本川達雄「サンゴとサンゴ礁のはなし―南の海のふしぎな生態系 (中公新書)」

一度だけ、沖縄に行ったことがある。一面に広がるサンゴ礁には、南国に来ているというウキウキ感と相まって、心躍らされずにはいられない。このサンゴについて、一般向け科学書の名著「ゾウの時間ネズミの時間」と、自作の不思議なお歌で有名な生物学者、本…

塩野七海「コンスタンティノープルの陥落 (新潮文庫)」

イスタンブールへの出張を期に、この有名な作品を読んでみることにした。 イスラム教のモスクが建ち並ぶイスタンブールも、かつてはキリスト教を奉じる東ローマ帝国の首都であり、ギリシア色の濃い街だった。当時鉄壁を誇ったその都がいかにして孤立していき…

浅野和生「イスタンブールの大聖堂―モザイク画が語るビザンティン帝国 (中公新書)」

東ローマ帝国の首都としてコンスタンティノープルと呼ばれ、オスマントルコによって陥落したのちにイスラムの都市となったイスタンブール。その都市の変遷を1500年近くにわたって見守り続けているのが、聖ソフィア大聖堂だそうだ。 だいたい、もともとキ…