2008-11-01から1ヶ月間の記事一覧

吉村仁「17年と13年だけ大発生?素数ゼミの秘密に迫る! (サイエンス・アイ新書 72)」

ご存知のとおり、セミは生まれてから幼虫の数年間を地中で過ごし、地上に出てきて短い人生を全うする。普通は毎年同じセミを我々は地上で見ることができる。しかし、アメリカには17年、13年という一見奇妙な周期で、ある年にのみ大発生するセミがいるとのこ…

中谷宇吉郎「科学の方法 (岩波新書 青版 313)」

雪の結晶の研究で有名な寺田寅彦の弟子、中谷先生の科学論。1958年発行であるために確かに例などは古いところもあるが、科学というものの方法や考え方、さらにその限界に関しては、とてもまっとうな、納得のいくところを書いてある本。海外でも日本で他にも…

岩科司「花はふしぎ (ブルーバックス)」

タイトルは「花」と広くつけているが、著者は花の色を分析してきた研究者で、メインは花の色のはなしである。花の色がどのような成分からできているのか、そのような色を出すことにどのような意味があるのか、といったことから、なぜある花が持っている色の…

ピーター・バーンスタイン「リスク〈下〉―神々への反逆 (日経ビジネス人文庫)」

上巻の続き。 未来を予測したいと考える人たちが作り上げてきた確率理論。この理論についての話は上巻から下巻にも続いているが、確率理論の創造に関する話は、『平均への回帰』の法則を用いることの有用性を説いて一段落する。すなわち、株式市場でもなんら…

戸塚洋二「戸塚教授の「科学入門」 E=mc2 は美しい!」

ノーベル賞を受賞した小柴先生の弟子として、ニュートリノに質量があることを発見し、ノーベル賞はほぼ間違いないと思われていながら惜しくも急逝した著者が、病床で書いていたブログの文章などをまとめた一冊。読んでみねばなるまい、という気持ちで購入し…

水木しげる「猫楠 南方熊楠の生涯 (角川文庫ソフィア)」

だから私が、熊楠の妖力の凄さを、今、漫画で甦らせようとしているんです。(p419、水木しげると中沢新一の対談より) 水木しげるが、世紀の大奇人、大生物学者の南方熊楠を描く。妖怪が現れ、怪しい森に魅入られ、猫が人間とぺらぺらしゃべる。これまで水木…