2011-05-01から1ヶ月間の記事一覧

菅裕明「切磋琢磨するアメリカの科学者たち―米国アカデミアと競争的資金の申請・審査の全貌」

アメリカの科学研究費はどのように申請し、どのように審査されているのか。研究者としてアメリカでテニュアを取得し、科学研究費に応募するとともに、その審査にも関わってきた著者。審査される側、する側の両方からアメリカの科学研究費のあり方について詳…

野依良治「事実は真実の敵なり―私の履歴書」

ノーベル化学賞受賞者の野依教授が、日経新聞の「私の履歴書」に連載していた内容をまとめたもの。同じ分野でないのでもちろん正確なところはわからないのだが、著者は、その発言力などから、政治的なことに長けている、と見られそうなところがある。実際、…

斎藤成也「ダーウィン入門 現代進化学への展望 (ちくま新書)」

著者自ら書いているように、「ダーウィン産業」に連なる一冊。自分で言うのもなんだが、性懲りもなく、ダーウィンと書いてあるだけで買って読んでしまう読者がこの産業を支えている。 どれも同じようなことを書いてあるのだろう、と思う人もいるかもしれない…

藻谷浩介「デフレの正体 経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)」

なんとなく、景気が上向くとか、より豊かになるとか、そういう展望を抱けない現状。それに、一つの答えを求めて読んでみた。数字上、日本が豊かになっていった「好景気」の時期(2002年から2007年)に何が起こっていたのか、なぜあまり豊かになったように感…

佐藤忠良・安野光雅「若き芸術家たちへ - ねがいは「普通」 (中公文庫)」

さきほど亡くなられた彫刻家の佐藤忠良さんと、小さい頃からその絵に良く親しませていただいた画家の安野光雅さんの対談集。 文庫版のあとがきに安野さんが書かれているように、芸術家を志す若い人たちにとって、いや、広くものを作ろうとする、創造的であろ…

多田富雄「寡黙なる巨人 (集英社文庫)」

免疫学の世界的科学者として、また、能を舞い白洲正子さんと親交があった知識人として、多くの評論やエッセイなどで楽しませてくれた多田富雄先生。 晩年は脳梗塞を患い、闘病の末昨年惜しくも亡くなられてしまったが、このような迫力のある本を私たちに残し…