自分ひとりの成功は難しくない

仕事をしていると、同期の間でも、たった一年くらいで、あがった成果や、上司からのおぼえの良さに差が出たりするのは仕方がない。
人はその違いを才能とか努力のせいにするだろう。でも、実は一年二年くらいの成果の差は、ちょっとやっている仕事が身に合わなかったとか、チームのサポートが足りなかったとか、そんな理由でできてしまったものであることがほとんどだ。
みんなが同じだけ幸せになることを目指している年功序列的な組織なら、チームとしては、できるだけチームのメンバーが同等に報われるようにサポート体制や割り振りを考えていくのが当然だろう。それは立場が上ですでにある程度分け前を得ている人間が、勝ち逃げをしないで考えるべき問題だ。
と同時に、同期の中でちょっと自分がいい境遇にいるなと思うなら、その差をことさらに自分のせいにしないこと、なるべく同期も同じように報われるように働きかけること、報われない立場に立つこと、ができるようになるべきだと思う。
自分が他人より満足のいくような報いを得て、しかもそれが周りに憎まれないように「いいかっこしい」をして取り繕うのはそんなに難しいことではない。自分はすこしずるいことをしても、上司に仲間思いだと思ってもらえれば大丈夫。…成功者はみんなそうしている。そして、うまくいかなかった人間は、成功者との差を自分の能力と努力が足りなかったせいにするだろう。
でも、勝ち逃げのずるさと、成功者の偽善者っぷりは、見る人は見ているし分かる人には分かる。そんなものを指摘するのはおとなげないからしないだけであって。そこにこころの痛みを感じられるかどうかを「品格」と言ってもいいのではないだろうか。