安河内哲也「できる人の英語勉強法」

英語の勉強法の本はたくさん読んだ。斎藤兆史先生の、受験英語をしっかりやることこそ英語の達人への近道である、という説も大変納得がいくものだった。しかし、結局あれだこれだと振り回されてやり方を決められないのは自分が凡人である事を表わしているのだろうと思って、もう英語の勉強本は読むまいぞと思っていた。ライティングとリーディングは着実に力がついている自信もあったし、リスニングと会話は少しおいておけばいいかな、と思っていた。
がしかし、人にふと軽く薦められて読んでみたこの本で、一つ重大な間違いに気がついた。リスニングは英語を生で聞いていればどうにかなる、という誤解である。
著者は、そんなことはないのだ、と主張する。自分が知っていて、発音できる音しか認識できないのだ、と。
確かにそうだ。意味を知っていて、どう発音するかまで身体で理解している言葉でないと、何を発音しているか想像しようがないはずだ。英語のシャワーを浴びていればわかるのだ、ということになんとなく納得させられていたのはおかしな話だった。
だからこそ、発音記号も大事だ、と著者は言う。発音のクセをちゃんと理解したうえで、ディクテーションの練習などをちゃんとしていくことで、英語の認識率が上がっていくのだ。
スピーキングについてもこの本は、難しい会話も、シンプルなパターンにあてはめて話す、というアドバイスをしてくれていた。ライティングに力を入れている(というより仕事上せざるを得ない)最近の自分にはすんなり納得のいくものだった。スピーキングが、ライティングの力と強くリンクしていること、恥ずかしがらずに話していくことが大事なことを改めて心にとめることができた。
やはり収穫はリスニングについてだ。すなわち、この本から今回得たポイントは二つ。リスニングに関して、『人間は自分が発音した音しか聞き取れない(p47)』ことと、『発音のスキルとリスニング力は、密接に結びついている(p56)』ことだ。
このことがしみ入るように納得されただけで、この本を読んだ価値はあった。だからまずはリスニング。ディクテーションと、しつこい発音の習得。これからやっていこうと思う。