高田京子・清澤謙一「ニッポン最古巡礼 (新潮新書)」

『日本最古の』と名のつくさまざまな物件を巡る旅。条件は、現役で使われており、教科書に載っているようなものでないこと(必ずしもそうなっていないものもあるが)。
そういう古いものは近畿地方などに集中しているかと思いきや、この本で紹介される物件は日本全国にわたって分布している。当然のことながら、どんな『最古の』物件でも、できてから壊されてしまったり、建て変えられたりするものが多いのがその原因だ。また、田舎の心ある人が作ったり導入したものが大事に大事に保存されているものも多く、時を経て残された昔の人の心意気が垣間見えることも。どういう事情があるにせよ、こんなところに、というところに思ってもみない『最古』があるのが面白い。
案外、読む人の身の回りにもあるかもしれない最古物件。わざわざ見に行くほどではなくても、これを読んで頭の片隅に覚えておくだけでも旅行が楽しくなりそう。古いもの好き、建物好きの方などにお勧めの一冊。