谷川俊太郎・長谷川宏「魂のみなもとへ―詩と哲学のデュオ (朝日文庫 た 46-1)」

谷川俊太郎さんの詩に、長谷川宏さんが短い文章をつけている。詩と文章が順番に読める。詩ばかり並んでいると飽きてしまう自分には、詩を楽しむにはこのくらいがちょうどいい。
同じ詩を読んでも、同じようなことを感じることもあれば全く違うことを感じることもある。でも少しほっとしたのは、哲学者だからといって、難しいことばかり考えているわけではないということだ。むしろ、ごくごく日常的な詩からイメージされた文章のほうが、哲学的に感じたりするのが不思議。
そんな、詩人の詩からイメージして哲学者が紡ぐ言葉のなかで、なんとなく記憶に残ってしまったのが、「待つ」という言葉。心が弱ってしまったのが回復するのを「待つ」。寂しさが消えていくのを「待つ」。孤独に耐えられるようになるのを「待つ」。
どうしても待っていられない気持ちになるときもあるけれども、急いても何も動かせないときも多い。
『待つことも生きることだから。(p16)』という短い言葉が、どれだけの励ましになることか。