「ジョゼと虎と魚たち [DVD]」

べたなセレクトですが、見たことがなかったもので。10本近く置いてあったのに、びっしり借りられていて残り一本だった。

これはもう池脇千鶴さんに尽きる。ジョゼにとっての、恋愛の、「これ一回きり」という切迫した感じが、見ていて辛いほど伝わってくる。いや、もちろん妻夫木くんの、どうしようもない普通っぷりがあってこそ、見ている人を感情移入させてくれるのだけれども(ほめています)。歩けない彼女にとっては、二人で見る目に映る全てが、真新しい。その気持ちを、共有したい。でも、恋愛もしたことがあって、それなりに経験している彼には、その全ての気持ちを受け止められなかったのだろうな。見ていて、そのあたりが徐々にわかってくる寂しさ、でもこれはどうしようもないよなぁと感じる辛さ。
一回きり、という気持ちでありながら、ごく普通に終わりがあって、普通の日々がある。当たり前だけれど、そうやって人は生きていくのだなぁ…と感じたときにとてつもない切なさが襲ってきた。
見おわってはじめて、なんてぴったりなタイトルなのだろうとわかった。最も印象的だと感じたシーンが、タイトルにぴしっと二つ入っているのだ。
『それもまぁよしや。』そう言いきれる強さがまぶしい。

原作も良いようなので読んでみよう。