谷川俊太郎「風穴をあける (角川文庫)」

誰もが知っている詩人である谷川俊太郎のエッセイ集。
彼の詩と文学についての考え方だとか、芸術についてだとかの文章が収められているが、何より心をひきつけるのは、本の後半にある彼の友人への思いをつづる文章だ。その中でも、武満徹ら、すでに亡くなった友人への文章は、散文でありながら詩的で、心にぐぐっと入ってくる感じがする。
私事だが、ここ2年以上の間、亡くなった大切な人間のこと、そしていずれ自分も死ぬだろうこと、が頭から離れないでいる。
まるで中学生みたいだが、しかし、逆にその頭から離れない思いが、自分の毎日のちゃんとした生活を支えている。
過ぎた一年に感謝し、これからの一年も大事に生きようと思う。

君はいま、生きていたときよりももっと強く、もっと深くぼくを励ましてくれる。(p226)