ロバート・シアーズ、ジェームズ・シアーズ「パパになったあなたへの25章―シアーズ博士夫妻ジュニアから新米パパへの子育てエール」

大事な友だちからのプレゼント。相変わらず、ツボをおさえてくれていて、ありがたい。

子どもを持って、父親ができること。心構えができないうちに、自然と母親に任せっきりにならないために心がけること。
そういう視点に絞られて書かれた、新しく父になる人のためのメッセージ。『父と子が初期に絆作りをすることが、その後に続く長い人生での固い絆に発展していく(p151)』という考えから、生まれたばかりの時に父親が何をするといいか、何ができるかについて暖かく教えてくれる。
それ以外にも、母乳育児において父親ができること、ぐずった時のあやしかた、母親のみならずまわりの人や職場との関係について、自分のメンテナンスについてなど、盛りだくさんのうえにアドバイスは実に細かく、有益だ。
同時に、著者やその周囲の人間のユーモラスな体験談は読んでいるだけでも楽しく、ああ、こういうことあるんだな、とほっこりさせてくれる。それですべて安心できるわけではないだろうけど。

この本全体に流れるトーンとして、子育ての大変な時期はずっと続くわけではない、いずれ事態は変わっていく、良くなっていく、という励ましがある。まさに大変な時期の最中にいると信じられないかもしれないこの簡単なメッセージほど、新米の両親の希望になるものはないだろう。

同時に、日本語版監修者のあとがきにも勇気づけられる。仕事と子育て、どちらかに力をいれるとどちらかができなくなるというものではないと思ってはいるが、実際それを強く言う人は周りにはいない。だから、実感を持ってこう言ってくれるのはいいなと思った。忘れないように、最後に、その引用で締めておこうと思う。ぜひ、そのような立場になり得る人は読んでみてほしい。

僕からのメッセージは「サポート上手な父親は仕事もできる男です」。育児と仕事は別物ではありません。奥さんの体と心に起きている変化を感じとり、心配りができるようになれば、今後の仕事や対人関係などでも必ず役立つはずです。(p158)