医学と芸術展(森美術館)

六本木ヒルズ森美術館にて、「医学と芸術展」を鑑賞。
英国より借り受けて展示されているレオナルドダヴィンチの解剖スケッチをはじめとして、医学・薬学・生命科学をモチーフにしたアートや、資料などを展示している。
いずれ死す運命にある人間の身体を、ヒトはどのように捉え、扱ってきたのか。解剖した身体の内部を精緻に描いた絵やスケッチや模型が、さまざまなかたちで、大量に並べられている。古今東西の人々が身体の作りに大いなる興味をもってきたことが実感されて、比較しながら見ると勉強になった。
もう一つたくさん展示されているのが、生命を救うために作られた医療機器の数々。義足や義手は見たことはあっても、持ち運びするレントゲンの機械やふいごのような呼吸支援機械(?)などは非常に珍しくておもしろかった。
また、あちこちに並べられたヴェサリウスのものに代表される昔の解剖学の本や、モーガンショウジョウバエの本、クリックの二重らせんの最終原稿など、珍しい本の類いは眺めているだけでも楽しい。

生と死について考える現代アートも見所が多かった。一番見入ってしまったのが、死を目前にした人の顔と、同じ人が亡くなった直後の顔を並べた写真作品。写真で見ると、身体の暖かさなどは感じられないためか、片方が生きていて片方が死んでいるという実感が少し薄れる。しかしそれが逆に生と死の近さを感じさせるのがおもしろいというか、慄然とするというか。

ときどき見返したくなるものが多いように思われたので、思い切って図説を買った。はじめに高山宏さんらの文章が掲載されていて、これらを読めるという点でもお得だ。