行方昭夫「英語の発想がよくわかる表現50 (岩波ジュニア新書)」

先日読んだ本に引き続き、同じ著者の英語読解に関する本をもう一冊。英語表現に関する、初学者向けのエッセイである。
とはいってもあなどれない。英語も、当然のことながら一つの言語であって、同じ文章から必ずしも一つの意味だけが引き出せるわけではない。意味するところと、書かれたり述べられたりした文が一対一の対応にはならない。
前後のコンテクストがあり、一つ一つの単語のニュアンスがあり、同じ意味だけども違う単語があり…。日本語と同じで、いろいろな表情があるのである。

…というようなこの本に書いてあることを、早い段階で知っておくことは、英語を楽しくするだろうし、英語に対する苦手意識を少しでも消すだろうと思う。逆に答えが定まらない面倒さを嫌だと思ってしまう人もいそうだが、あるレベル以上になるためには、この多義性は避けては通れない。

押し付けがましくなく、豊かなエピソードを交えてやさしい語り口で書かれている。文法や基本的なことが、名文と言われるレベルの英文にまで一つに通じているのだな、ということも感じられて、そういうところもとてもよい。この年になってこういうものを読むと、また気づきがあるものだなと思った。