日経ヴェリタス編「nbb 日経ヴェリタス 大江麻理子のモヤモヤとーく (日経ビジネス人文庫)」

経済・金融に関する疑問を経済新聞の専門家に聞いてみる、というポッドキャスト番組を文庫化したものとのこと。正直なところ、大江アナの写真に釣られて買ってしまったのだが、きちんと読んでお勉強になった。
ポッドキャスト番組を編集してすぐに出したようで、内容は全て2009年のもので比較的新しい。リーマンの破綻から続いた危機から回復しつつある、日経平均が1万円を超えた時期の比較的楽天的な記事も、きちんとその後の展開を付記してフォローしてある。
内容としては、それほど難しいことは書いていない。キリンとサントリーの統合話やエコポイントなど、ある意味雑多なさまざまな話題にふれているが、身近なニュースから、経済に詳しいビジネスパーソンだけではなく幅広い人々に経済の話を分かってもらおうとする日経ヴェリタスのスタンスはよいと思った。

世界の経済の見込みについて、日米欧以外の新興市場の役割が大きくなってくること以外は、読んでもやはりモヤモヤすることに変わりはない。景気が良くなってくるかどうかなども、経済学者によって意見がさまざま違うという当たり前のこともあらためて感じた。
そんな時代には、『解は1つだけではないけれども…自分の中でシュミレーションをしながら、自分のマネープランというものを考えていく(p188)』しかないのだろう。誰しも最初はわからないことだらけ。日々、勉強だ。

大江アナも、毎週きっちり誌面に目を通して勉強してから番組に臨んでいるようで、質問など非常に分かりやすく、視聴者(読者)の良き導き役になっている。なにげなく微笑ましいコメントを発する一方で、自らの消費者としての行動を反省したり、他局の番組を例に出す共演者にさらっとクギをさすなど、いい仕事っぷりである。