2007年度の読書記録まとめ〜印象に残った5冊

1年間で読んだ本は、およそ85冊。冬休みにスパートをかけたが、とにかく生きることで精一杯で、本を読む余裕が少しなかったか、久しぶりに100冊を割ってしまった。今年はもう少し読む時間をつくりたい。
せっかくなので、印象に残ったもの、読み返すかもしれないものを何冊か振り返ってみる。ただし、2007年に出た本とは限りません。
1:鶴見和子「南方熊楠 地球志向の比較学 (講談社学術文庫)」 - 千早振る日々
さすがに名著とされるだけあって、手に取ってみてよかった一冊。自分の生きている現実から学問を立ち上げようとした南方熊楠の骨太く、独創的な学問のあり方に感銘を受けた。エピソードや著者の考察も面白かった。
2:福岡伸一「生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)」 - 千早振る日々
いわずとしれたベストセラー。前の本なども面白いと思っていたので、売れたことも納得。サイエンスの面白さと魅力を、エピソードと個人的な思いも交えてつづっていく筆の運びはすごい。よく売れたものは読まない、という人や、専門外の人にもぜひ読んでいただきたい一冊。
3:長谷川宏「高校生のための哲学入門 (ちくま新書)」 - 千早振る日々
ヘーゲルの翻訳で有名な著者の、タイトルに似合わない大人の味わいがある哲学エッセイ。個人的には、特に死者とのつながりについての文章に心打たれた。著者の思考の変遷が書かれた最終章などもよかった。読み返してはじっくり考えてみたい文章が満載。
4:佐藤克文「ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ―ハイテク海洋動物学への招待 (光文社新書)」 - 千早振る日々
サイエンス系の文庫新書で一番のほりだしもの。2と同じくらいとは言わないまでも、もっともっと紹介されてもいいのにと思ったくらい。生物の生き生きした姿と著者の研究の魅力が絡み合って伝わる面白さ。誰でも読めるわかりやすさもすばらしい。
5:平山廉「カメのきた道 甲羅に秘められた2億年の生命進化 (NHKブックス)」 - 千早振る日々
絵や写真も含めて引きつけられた、化石カメの研究を紹介する本。ほんとうに、世の中には自分の知らないことがたくさんあるものだ。

番外
1:梅田望夫「ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)」 - 千早振る日々
誰しも自分とひきつけずには読めないこの一冊。
2:池澤夏樹「静かな大地 (朝日文庫 い 38-5)」 - 千早振る日々
小説ならこれが面白かった。ひさびさにアイヌの歴史に興味を覚えた。
3:寒川旭「地震の日本史―大地は何を語るのか (中公新書)」 - 千早振る日々
地味ながら読ませた、日本の地震の歴史。