ダカーポ 2007年 3/7号 [雑誌]

思春期にさしかかったあたり、本を自分で買って読むようになってからというもの、面白い本を紹介してくれる先生が好きだった。授業やその雑談と関係のある分野において、自身の独断でこれは面白いと思われた本を紹介してくれると、授業の板書は適当に写していても、本の名前だけはしっかりメモったものである。
紹介してくれた本を実際に読んでみて面白かったときのうれしさ。自分で本を買って読むという行為は、あるものごとを少しでも深く突き詰めてみるという勉強の本来の意味とよく重なっている。細かいことまで教えてくれなくてもいいのだ。少し興味を持たせてくれて、本を二三冊紹介してくれれば、好奇心のある人間はそれで勉強したくなってしまうのだ。
ダカーポは、そんな、本を紹介してくれる先生のような雑誌だ。雑誌から、本を深く読んだときほどの知識を得ようなんて思いもしない。記事に興味がもてて、それについて少し勉強してみようかな、というきっかけをくれれば十分なのだ。
本号も、その役割を十分に果たしてくれる。トップの「3年で会社をやめる時代のライフプラン」からはじまり、「最新サラリーマンの節税術」などは、面白く読めて、しかも役に立ちそうなものだから、もう少し自分で考えたり、勉強したりしてみたいな、と思わせてくれる記事だ。どちらのメイン記事も、「興味はあったのだけれど…」という段階にある読者の背中を押してくれるような丁寧なつくり。
もちろん、本の紹介ページも、この小さい雑誌ながらも、昔から変わらぬ充実度。書評好きにはたまらない。雑多な芸能記事などは最小限に抑え、さまざまな分野への好奇心を満足させてくれる。この雑誌のよさがよくわかる最新号。前号からはじまった中沢新一さんの連載も、切り口が面白い。


ダカーポ 2007年 3/7号

  • 著:ダカーポ編集部
  • 出版社:マガジンハウス
  • 定価:320円
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