絲山秋子「海の仙人 (新潮文庫)」

イッツ・オンリー・トーク (文春文庫)」に続いての文庫化で、さっそく読む。小説はあまり読むほうではないが、時々気になるものは手にしてしまう。
この人は、会話がいい。なにげない会話は、登場人物一人一人の人間をうつしながらしかし押し付けがましくなく、読むものの心にすとんと落ちていく。
また、やはり小説家というのは自分と同じ性別に感情移入しやすくて書きやすいように思うのだけど、それも上手い人には関係ないようだ。前に読んだのは女性が主人公だったが、今度は男性。しかしどちらも実に違和感がない。
日々、孤独を抱えながら、しっかりと生きていくこと。そんな当たり前の生き方の尊さが沁みてくる。
いろいろとものおもいにふける冬の夜にふさわしい小説。男女問わず、いいです。

イッツ・オンリー・トーク (文春文庫)

イッツ・オンリー・トーク (文春文庫)