武田篤典「スマートモテリーマン講座 プレミアム」

フリーペーパー、R25の連載をまとめた本の続編。前の本をネタで持っている職場の後輩がおり、続編が出たとのことで気になっていたもの。
愛すべきアホらしさである。実践できるものもないではないが、ほとんどはネタに近いテクニックが披露されていて、今回も読んでいて笑えること間違いなし。
と同時に、その中に、「男は日常の所作・意識でモテるものである」という著者の一つの思想がうかがい知れる。例えば…

テリーマンにとって、カッコいいポーズは基本である。どんなシチュエーションにあっても、つねに"無"からモテを想像しようと試みている。そこに存在している限り、カッコよく存在しているのは当然。必要なのはスキルや経験以前に、"モテよつねに"という意識。(p78)

こんな表現をしばしば目にできる。この文章の場合、この直後に『ときにはたった1枚の壁がそれを何倍にも増幅させる。』とあって、なんじゃそりゃー、なんで『壁』なんだー、ということになるのだがそれはそれ。男は、「モテ服」やら「モテメイク」やら、女性雑誌に踊るようなものでモテるのではない。もちろんそれが重要な場合があるのも認めるが、ファッションなどは女性(この本で言えば『OLちゃん』)から見た一部分でしかない。だいたい、この本のイラストで描かれる男は、色こそ違え全く普通のスーツしか着ていないのだ。
普段の仕事、生活の中で、どれだけ自然でみっともなくなく、かつ魅力的な所作を保っていられるか。その所作の中で男っぽさや、その生き方のスタイルを見せられるか。そういったところが大事なのではないかとこのシリーズは密かに伝えたいように思える。ネタにもとられるような極端さの中に、あー、そういうことを意識することもあるなぁという、なるほど感も垣間見られる。ある意味、ファッション雑誌による「モテ」へのアンチテーゼを提示しているとも言えるかもしれない。
もちろん、やり過ぎないように、ではあるけど。


スマートモテリーマン講座 プレミアム

  • 著:武田篤典、Shu‐Thang Grafix (画)
  • 出版社:マガジンハウス
  • 定価:1050円
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