三浦しをん「まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)」

架空の都市「まほろ市」の駅前で便利屋を開業する主人公・多田のところに、高校時代の同級生である行天がころがりこんでくる。奇妙な依頼人や意味の分からない依頼に対応しているうち、二人は怪しげな事件に巻き込まれていく…。
直木賞を取ったこの作品。同じくあまり思い出したくない過去を抱えた、しかしどこか対照的な性格のこの二人のかけあいが楽しく、さらっと読める。
二人がタバコを吸うシーンが多く出てくる。自分では吸わなくても、タバコというのが感情とか二人の気持ちのやりとりの重要な位置にあることが見えると、タバコのそういった役回りがいいなぁと思ったりする。ちょっとハードボイルドな香りというか。憧れているわけではないけれども、いい道具だな、と感じる。
この人はエッセイのはじけ具合もよかった。幅の広い人だ。
三浦しをん「夢のような幸福 (新潮文庫)」 - 千早振る日々