山崎将志「残念な人の思考法 日経プレミアシリーズ」

なんとなく読みやすくてためになりそうな本を衝動買いしたくなるときがある。これも、なにかの待ち時間に入った書店で売れてます、と宣伝されていた一冊。

仕事は、プライオリティ(優先順位)を正しくつけることが大事ですよ、という主張を中心にして、仕事をうまくやっていくための方法が、いろいろなエピソードと実例から語られていく。

話題や主張がさまざまに散っていて、若干散漫な感は否めない。しかし、そういう部分は逆に、こういうとき自分ならどう動くか、自分の職場にどう生かせるか、といったことを何度も考えさせてくれる機会を与えてくれると考えるととてもよい。実際、後知恵でなくある分野を制覇していくための先手の打ち方はどういうものであるべきか、といった点については、考えさせられるところが大であった。

ほかにも、まず考え方を一致させて、大枠を決めてから詳細をつめていく、という当たり前にも聞こえる大事なことを、種々のエピソードから何度も強調されるなど、本書から得られる仕事上のヒントは数多い。

30万部近く売れるほどかな、とは思うが、自分も含めて、ビジネス本が好きな層に買わせるだけの工夫がある。

最後に、確かにもっともだよね、でも最初はわからなかったな、ということを引用しておく。

社内外の年長者から情報提供を受け、自己の意見に対する合意を得るためには、相手と真剣勝負をする勇気を持つことが不可欠だ。雲の上の存在であろうと、初対面であろうとも、相手の懐に入り込まずして、意のままに仕事を進めることはできない。
キーパーソンの合意なくして次へ進めない場合は、悩んでいても意味がない。多少強引にでも接触を試み、承認してもらう必要がある。短時間で用件を伝える訓練を日ごろから積んでおく必要がある。時には「五分だけ話を聞いてください」と相手に強く訴える図々しさも不可欠だ。(p129)

こういうことは、自分が利益を得る仕事のためなら案外仕事ができない人でも、できる。ただ、誰もが押し付け合っているような仕事はここまでやるモチベーションが誰にもわかないので、進まない、ということはよくある。自分のための仕事だけではなく、他人のために面倒ながらやらねばならないときにも、こういう図々しさを発揮できるようでありたい。