日本科学未来館”MEGASTAR-II cosmos”「暗やみの色」クロージングイベント

お台場の日本科学未来館にあるプラネタリウムMEGASTAR-II cosmos”。ここで現在開催しているプログラム「暗やみの色」が3月中で終了し、そのクロージングイベントが開かれるということでお台場まで行ってきた。
プラネタリウムと、プログラム「暗やみの色」は、以下のようなもの。

日本科学未来館プラネタリウムは、“MEGASTAR-II cosmos”により肉眼で見ることのできない500万個の星を投影することを実現。「暗やみの色」では、その眼が眩むほどの星空が、原田郁子による谷川俊太郎の詩の朗読、レイ・ハラカミによるエレクトリック・サウンド、眼で見ることのできない電波や赤外線の映像化によって彩られる。(ちけっとぴあの案内より。http://www.pia.co.jp/news/hot/20070226_haradaikuko_live.html)

去年「ohana/オハナ百景」を聞いてからというもの、原田郁子さんが気になってしょうがなかった。このプラネタリウムのプログラムで彼女がナレーションをしている、と知って、最新鋭のプラネタリウムの評判とあいまって、見てみたい!と思っていた。イベントという形でそれを見ることができたのが、何より嬉しかった。
昨年群馬県の「ぐんま天文台」に行って、天気が悪かったので星は見られなかったが、最新の天文学がどういうものを明らかにしようとしているのかをすこしかじってきた。そのとき印象に残っていたのが、今の望遠鏡は、人間の目に見える可視光だけでなく、人間の目に見えない紫外線や赤外線、さらにガンマ線などを捕らえられるようになってきているということ。さらに、そうしたいわゆる「見えない光線」を捕らえることで、人間の目では見えないところにある天体の様子がわかるのだということだった。
この「暗やみの色」というプログラムも、そういった、最新の科学技術でわかった、人間の目に見えない暗やみにある天体やその謎を紹介してくれていた。天文学において、見えるとはどういうことか、見えない光とはどういうものか、そしてそれでもどうしても見えないものとはどういうものか、そこに何があるのか、ということを原田郁子さんのナレーションと壮大なCGで紹介してくれる。わかりやすい。そして面白い!「ダークマター」という目に見えない物質が宇宙には満ちていることが想定されていること。そしてその実体とは何かがわかっていないこと。まだ人間にはわからないことがたくさんあるのだな。
暗黒物質 - Wikipedia
一般の人に見せるということから30分の上映時間は限界なのだろうけど、僕としてはもう少しじっくり時間をかけて、最先端の「だれもわからないところ」を説明してくれてもよかった。逆に言えば、そのくらい興味を引かれたし、星のきれいさとあいまってぐっとつかまれるものがあった。最後に谷川俊太郎さんの詩が朗読され、見えないものへの憧れと、光と闇の関係に心をはせつつ、プログラムは終わる。安くて中身が濃いパンフレットもまたうれしい。プログラムの中身をほぼ網羅した解説と、原田さんと谷川俊太郎さんの対談つき。
このプログラムが終わっても、また同じプラネタリウムで新しいプログラムが開催される。新たな切り口から、新たな宇宙の姿を僕らに見せてくれることだろう。
さいころからプラネタリウムが好きで作っていて、家庭用のプラネタリウムを作りヒットさせ、そして多くの人に見てもらえるこうした大きなプラネタリウムを、肉眼では見えないような星まで再現するように作ったのが太平貴之さんだ。プラネタリウムクリエイターという、今までない仕事を自分で作ってしまった、その星にかける情熱にはあこがれる。お台場に行く機会があったら、ぜひ見てみてほしい、と多くの人にお勧めしたい。

家庭用星空投影機「ホームスター(HOMESTAR)」 スターシルバー

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そのあと原田郁子さんの弾き語りライブ。なんと、もう二度とこんな場所で見られないというような、手に届きそうな目の前で見てしまった。とってもとってもかっこいい。親近感のある話し方と楽しい話で笑わせてくれるその愛嬌。何を歌っても、彼女のものにしてしまうそのスタイル。バンドだと「くらえー」って感じなのに一人だと緊張しています、と笑わせながら、彼女がピアノを弾き始めると、その自由にやっている感じの心地のいい空気が見ている人に伝染してくる。声が体にしみてきて体を震わせる。たっぷり1時間、まったく目を離せなかった。ひさしぶりに、ずっと応援していこうと思う人に出会ってしまった。
プラネタリウムと音楽。今日このイベントを見られたことを幸せに思う。
ピアノ

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